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1話 ページ1

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早朝7時55分、学校へ向けて全力疾走する私はさながらオリンピック選手だった。


清々しい何の変哲もない水曜日、中だるみする週の真ん中で貪る睡眠の幸福感といったらない。
そんな私を布団は離してくれず、時間ギリギリまで布団といちゃこらしていた結果、気づけば私はオリンピック選手になってしまっていたというわけである。


早朝全力疾走の私を神が哀れに思ったのか、道中の信号運はめちゃくちゃいい。この調子なら遅刻ラインの8時には間に合いそう。



……と、そんなことを考えながらいよいよ目前に迫った校門を悠々とくぐろうとした私は、立ち止まる。



否、立ち止まらされる。舌噛みそう。



「はぁ〜〜〜〜、なんで居るかなぁ?」
「はぁ〜はこっちのセリフやで、言うとくけど」



毅然と私の目の前に立ちはだかるレッドクリフ。
仁王立ちの黄金比か?と言うほどに完璧な比率で腕を組み私を見下ろす、この男。


「遅刻。今週3回目やから、反省文な」
「待って!?まだ58分じゃん!」
「うるさい。58分も8時や」
「理不尽を感じる!」


私の猛攻もなんのその、石像のようにその姿勢を崩さないコイツはこの学校の風紀委員。そして私は何を隠そう遅刻常習犯。


現在育児休暇中の風紀委員の先生(温厚で優しい)に変わり、何の因果かその代理として委員長であるこの男(横暴で冷酷)が風紀委員の務めを全うしているのである。


極めて迷惑な話。先生だったら、58分に着いた私を「ランニングお疲れ様(微笑み)」なーんて褒めてくれるのに、この男と来たら。


「はぁ…朝からお前の顔見たら疲れてもうたわ」
「はぁぁ?だったら遅刻チェックとかいう迷惑な制度を廃止したらどうですか?」
「そもそも、お前が時間通りに来たらええ話やろが」



目の前に人がいるにも関わらず肺の空気を全て押し出すようなため息を着いたコイツ。私は例によってコイツが嫌いである。


理由は明白、なんかむかつくから。すぐ怒るから。


今日も今日とて私を睨んでいるこの男に私もまた睨みをきかせ、お互い目線の間に火花が散った。

2話→



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k - ほんまに、天才やと思います。いっぱい小説書いてほしい…あなたの作品がとても好きです (2022年3月18日 0時) (レス) @page43 id: a78c62413a (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - え?え?待って?コネちゃん夢主ちゃんのことが好きだったってこと?えっえっ好き。 (2020年12月12日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - ルキさん» 完結までお付き合い頂きありがとうございます( ´ ` *)ぜひ続編でお待ちしております!コメントありがとうございました。 (2020年7月18日 12時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - すきーーーーーー!!最高!作者様ありがとうございます!続編も楽しまさせていただきます! (2020年7月18日 11時) (レス) id: a52e442f29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - 妹。さん» 予想に反してknさんの人気が高く驚いています…(笑)最後の台詞はこだわっていたのでキュンキュンしていただけたのなら幸いです( ´ ` *)コメントありがとうございました! (2020年7月18日 9時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年5月24日 21時

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