【d!】藍の香り【ut】

6話 ページ6

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なんやかんやと情に流され幼馴染の面倒を見ている、と言えばまだ笑い話で済むけれど、蓋を開ければ実はそれだけではない。

いくら何も無いとはいえ、いい大人が同じベッドで一緒に寝ているとはとても周りには言いづらい。と言うより死んでも言えない。


「せやから、俺はなんべんも言うとるやん。まともな彼氏を見つけろって」
「見つけてるよ？でもみんな最初はクズの片鱗隠してるんだもん。ずるいよね」
「ほんまにクズ男ホイホイやな、お前」


最寄りの適当な飲み屋でお腹を満たしつつ、翌日に支障の出ない程度の度数のお酒を煽る。

コネシマくんの言葉は最もだけど、私は過去にことごとく失敗している。自身の持つクズ男センサーは伊達ではなく、選ぶ男は揃いも揃って一癖あるどうしようもない男ばかりだった。


「だってさー…なんか、私が放っといたらこの人どうなっちゃうんだろう…とか考えちゃって」
「どうもならへんわ。そういうやつはな、自分の欲求満たしてくれる女やったら誰でもええねん」


ぐさり、タイムリーな言葉が胸に突き刺さる。
ウッと胸を抑えて顔を顰め、現在私が捕まっているクズ男を思い浮かべる。


本当に野垂れ死にしそうで毎日うちに尋ねてくるのならまだしも、来たり来なかったり、挙句その来ない日はどこか別の人の元へあっさり行っているのだ。それこそ今だって、誰とどこにいるのやら。


ため息が出る思いだった。
いや、特にため息をつく必要もないのに、私がこうして密かに鬱くんがいない喪失感を感じているからタチが悪い。はっきり『迷惑だからもう来ないで』と言ってしまえば鬱くんも分かってくれるだろうに、いつもなんだかんだ許してしまっているのは完全に私の落ち度だった。


「はぁー……私、このままでいいのかな」
「簡単やで。アイツと付き合えばなんの問題もないやん」


そう力説されるけど、果たして本当にそうだろうか。
そもそも、一緒に寝たりなど大胆すぎる事をしているにも関わらずここまで清々しい程に何も無いのは、鬱くんにとって私は完全なる″対象外″だと思われていると身をもって感じていた。

ご飯を作り、お風呂を貸し、寝る場所を提供するだけの都合のいい女の私は、半端に情の湧く幼馴染の彼を見捨てることなど到底出来ず、もう八方塞がりだった。

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