8話 ページ8
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「大先生、初手でセクハラは無いで」
「なんでや！？セクハラちゃうやろ！？」
握った私の手を丁寧に離して隣から飛んできたトントンくんの野次に言い返すゾムくんのお友達、大先生。
好きなの食べや、と分厚いメニュー表をトントンくんから手渡され、パラパラとそれを捲る。
写真と字が建て並ぶそこには食べたことも無いものがいっぱいで、つい「これは？」と目に付いた食べ物を片っ端から指さしトントンくんを質問攻めにしてしまう。
「てか、え？来たことないん？こういうとこ」
「うん。初めて」
「うせやろ……現代にそんな子おるんか…」
箱入り娘？と怪訝に尋ねられ、一人暮らしだと首を横に振る。
単純に、お酒も嗜む程度にしか飲めない私は居酒屋に行くタイミングがなかった、というだけだ。
でも、20歳を過ぎてこれは些か世間知らずすぎるなぁとここに居る同い年の人達と比べてあらためて痛感した。
だって誰も教えてくれなかったんだもん、は言い訳にはならない。20歳を過ぎたら同級生は自然と周りに合わせて大人になるものだから。
ただ、私は自らその機会を逃していた。周りの成長に特に焦ってもいなかったのは、私がいつまでも『お子ちゃま』思考だったから。
「別にええやん、そんな顔せんでも。なんでも答えたるよ」
「え、」
あっけらかんと言われた言葉に顔を上げれば、ビールグラスを片手にトントンくんは私を見ていた。
「ええなぁ、Aちゃんは。見るもの全部新鮮なんやろ」
さっきも壁に見とれてたよな、とゾムくんとぶつかった時のことを指摘される。
″世間知らず″をそんな肯定的な言葉に変えてくれたトントンくんの顔を、思わずじっと見つめてしまう。
「……な、なんやねん」
「ううん、…ありがとう」
だって私今、凄く暖かい気持ちになった。そういう見方もあるんだなって嬉しくなった。
それを教えてくれたトントンくんに、私はまた心が騒いだ。初めて名前を呼んでくれたあの日と同じ、ふわりと心を撫でられた感覚。
それでいて、ぽわぽわと暖かい。
「やっぱおもろいな、Aちゃんて」
「へへ、褒めてる？」
「褒めとる。それ、長所やと思うで」
撫でられた心は簡単に転がされ、長所だと笑ってくれたトントンくんの顔に、なぜだか心も顔もじんわりと暖かかった。
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猫 - 主さんの語彙力がありすぎてめっちゃ物語を楽しめました！ 好みすぎる物語でキュンキュンしながら読み進めて1時間足らずで読み終えました！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月31日 0時) (
レス) @page43 id: 2d8f825918 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 夢主ちゃんが純粋すぎてかわよ、、、zmニキのメッセージ直球wwwむっちゃ面白かったです！ (2020年5月26日 5時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - jiruさん» いつもありがとうございます( ´ ` *)そう言っていただけるとすごく励みになります、嬉しいです（ ; ; ）最後までお付き合いありがとうございました！新作も遊びに来ていただけたら嬉しいです( ´ ` *) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
jiru(プロフ) - 完結おめでとうございます。今回の作品も楽しませてもらいました！素敵な作品をありがとうございます。ゆららさんの作品はほんとに大好きなのでこれからも、楽しんで読ませてもらいます！！お体に気を付けてお過ごし下さい。 (2020年3月22日 22時) (レス) id: fc77c998f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - Near(ニア)さん» 完結までお付き合いいただきありがとうございました。次回作も心に留まるようなものを作れるよう精一杯頑張りますので、ぜひ遊びに来てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年3月22日 19時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月1日 0時
