29話 ページ29
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学校を出てトントンくんと二人、駅前を目指し歩く。
俺の知っとるとこになるけど、と前置きして連れてきてくれたのは、いつも行く賑わう居酒屋ではなく、個室になっている比較的静かなお店だった。
隣と仕切られているぶんより二人きりを意識させ、向かい合って座ってからもダラダラと変な汗が止まらない。
「緊張しとる？」
延々机の木目を凝視している私に、運ばれてきたビールグラスを傾けつつそう言うトントンくん。
まんまと言い当てられギクリと肩が跳ね上がった。
「…どんな顔して会えばいいか、わかんなくなって｣
「ふは、気にしてくれとってんや。こないだの」
何気なく発された『この間』がどの間かなんて考えなくても分かり、耳を塞いでブンブン首を振った。
「俺、Aちゃんに嫌われとったらどないしよってずっと思っててんけど…」
「え！？や、元々私が引き止めたのが悪い…し、」
もごもごと言葉尻に向けて声が小さくなる私をトントンくんはおかしそうに笑った。「あれは大胆やったで？」なんて意地悪くそんなことを言われて今更恥ずかしくなり、熱くなった顔を手でパタパタと扇いだ。
それから適当にトントンくんが注文した食べ物が運ばれてきて、そこにはまたもや見たことの無いメニューが多々あり、いつかのようにまたトントンくんを質問攻めにした。
「凄いね、トントンくん。なんでも知ってるね」
「威張れへんなぁ、食いもんの名前答えたくらいで」
枝豆を口に入れつつ苦笑される。
トントンくんは、私の知らない事を沢山教えてくれる。それを知れる楽しみが新鮮な刺激に変わり、それも含めて私はトントンくんと一緒にいるのが楽しいんだろうなと思う。
「私の知らない事、全部教えてくれるから」
「いや、そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃないよ」
食べ物の名前も勿論、キスだって恋だって気がつけば全部トントンくんが教えてくれた。無知な私に、暖かいこの気持ちを教えてくれた。
「……まぁでも、Aちゃんやからやで、それは」
「私？」
「うん。他のやつが教えるくらいなら、俺が教えたりたいって思うねん」
キスとかそういうのも含めてやで、と念を押すようにそう言われ、ぴしりと固まった。
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猫 - 主さんの語彙力がありすぎてめっちゃ物語を楽しめました！ 好みすぎる物語でキュンキュンしながら読み進めて1時間足らずで読み終えました！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月31日 0時) (
レス) @page43 id: 2d8f825918 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 夢主ちゃんが純粋すぎてかわよ、、、zmニキのメッセージ直球wwwむっちゃ面白かったです！ (2020年5月26日 5時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - jiruさん» いつもありがとうございます( ´ ` *)そう言っていただけるとすごく励みになります、嬉しいです（ ; ; ）最後までお付き合いありがとうございました！新作も遊びに来ていただけたら嬉しいです( ´ ` *) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
jiru(プロフ) - 完結おめでとうございます。今回の作品も楽しませてもらいました！素敵な作品をありがとうございます。ゆららさんの作品はほんとに大好きなのでこれからも、楽しんで読ませてもらいます！！お体に気を付けてお過ごし下さい。 (2020年3月22日 22時) (レス) id: fc77c998f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - Near(ニア)さん» 完結までお付き合いいただきありがとうございました。次回作も心に留まるようなものを作れるよう精一杯頑張りますので、ぜひ遊びに来てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年3月22日 19時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月1日 0時
