21話 ページ21
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それから程なくしてトントンくんは帰っていった。
怒っているわけでもなく、引き止めてしまった私を責めるのでもなく、ただいつも通りの立ち振る舞いで『じゃ、また』と至極普通な言葉だけを残してバタンと玄関の扉を閉めた。
扉1枚隔てた先へ出ていった彼を私はただ呆然と見送った。私もまた悲しいわけでもなく、それどころか怖いくらいに平常心だった。
否、立て続けに色々なことが起きすぎて、その時は何も考えられなかっただけなのかもしれないけれど。
そして翌朝、起き上がれないほどの頭痛と倦怠感で目が覚める。
一瞬、風邪？とも思ったけれど、きっとこれは俗に言う二日酔いというやつだ。
今日は普通の平日で勿論授業もあるわけだけど、とても身体を起こすことが出来なかった私は人生で初めて学校をサボった。
そして布団の中で昨夜のことを思い出し、ずん、と胸が重くなる。一晩明かして時間が経ったことにより頭の整理がついたのか、よりによってトントンくんとファーストキスを済ませてしまったことに1人悶えた。
昨晩、「好きな人にしてもらい」と言ったトントンくんの言葉がどうしても引っかかっていた。
キスだって、それ以上のことだって、私の中でも好きな人とする行為だという見解で間違ってなかった。
それなのに、トントンくんにキスされて何も抵抗しなかった私。
それどころか、『まだ足りない』なんて初めてのくせにどこかでそんなことを考えている自分に驚いた。
嫌じゃなかった。怖くもなかった。トントンくんなら、とも思った。
この気持ちは、一体何なのだろう。
顔を見れば心がぽかぽか暖かくて、触れられるとじんじんと高鳴る胸に燻るこの気持ちの名前は。
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その日の夕方、モヤモヤとした胸の内は晴れないままだったけれど、体調は幾分良くなった私は、今日がバイトだったことを思い出し家を出た。
そして交代でシフトに入り、ぼんやりしながら時間を食い潰していれば、上がり時間の少し前になって見知った顔が入店してきて、「あ、」と声が漏れる。
「A！？今日学校来んかったから心配しててんけど！」
「ぞ、ゾムくん、ごめん…」
店に入るやいなや私を見つけズンズン歩み寄ってくるゾムくんに、1歩引いて苦笑いを返した。
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猫 - 主さんの語彙力がありすぎてめっちゃ物語を楽しめました！ 好みすぎる物語でキュンキュンしながら読み進めて1時間足らずで読み終えました！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月31日 0時) (
レス) @page43 id: 2d8f825918 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 夢主ちゃんが純粋すぎてかわよ、、、zmニキのメッセージ直球wwwむっちゃ面白かったです！ (2020年5月26日 5時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - jiruさん» いつもありがとうございます( ´ ` *)そう言っていただけるとすごく励みになります、嬉しいです（ ; ; ）最後までお付き合いありがとうございました！新作も遊びに来ていただけたら嬉しいです( ´ ` *) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
jiru(プロフ) - 完結おめでとうございます。今回の作品も楽しませてもらいました！素敵な作品をありがとうございます。ゆららさんの作品はほんとに大好きなのでこれからも、楽しんで読ませてもらいます！！お体に気を付けてお過ごし下さい。 (2020年3月22日 22時) (レス) id: fc77c998f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - Near(ニア)さん» 完結までお付き合いいただきありがとうございました。次回作も心に留まるようなものを作れるよう精一杯頑張りますので、ぜひ遊びに来てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年3月22日 19時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月1日 0時
