3話 ページ3
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私の通うこの大学はなかなか広く大きい学校だった。
多種多様な学部に多くの人が行き交うキャンパス内。毎日始めて見る顔に出会ったりすることも少なくない。当然そういう見ず知らずの顔はすぐに記憶から抜け落ち、すれ違った次の瞬間にはあっという間にその輪郭すら曖昧にぼやけるものだ。
けれど、1度印象付いた顔というのは否応にも頭に残るわけで。
「あ」
「あ……どうも」
前から歩いて来た見覚えのある顔に脊髄反射で反応してしまい、あろう事かそれが声に出ていたようで。
携帯から顔を上げたその人と、初対面の日以来視線が交わった。
「トントンくん、ほんとに同じ学校だったんだ」
「そない驚く？…まぁ確かに学部もちゃうし接点も無いねんけどさ」
無論、今まで学内のどこかですれ違ったことがあったかもしれないが、″見ず知らずの顔″だった当時は記憶に留まる術を持ち合わせていなかっただけなのかもしれない。
そう思うと、巡り合わせって凄いことなんだな、と何となくこの再会に意味があるような気がしてくる。
「今日で会うのが2回目だから…もう友達だね」
「いや、友達のハードルが低すぎるやろ」
「そんなことないよ、初めましての日が最後じゃなかったんだもん」
つまりそれって、『縁があった』ってことじゃん。
そう言えば、ぽかんと口を開けていたトントンくんは初めてぷっと吹き出した。
「ゾムの言うてた意味がわかったわ。不思議な子やな、Aちゃんて」
あ。そんな顔して笑うんだ。
固かった表情をくゃりと歪めて無邪気に笑うその顔は、私を初めて『Aちゃん』と呼んだ。
「へへ。それ褒め言葉？」
「あいつが特定の女とずっと一緒におるんも珍しいから、そうなんとちゃう？」
「ゾムくんの特別かぁ…あんまり嬉しくないなぁ」
「それ、取り巻きが聞いたら刺されんで？」
ポンポンと弾む会話。2回目で、寧ろまともに話したのは今日が初めてのはずなのに、何となく居心地がよかった。それは、見かけによらずトントンくんがフレンドリーだったおかげか、
「ねぇトントンくん」
「ん？」
「今度、一緒にランチでもどうですか」
「………うん、ええよ」
ゾムくん以外の男の人に初めて名前を呼ばれ、それが私の心を優しく刺激したからか。
女は与えられたことの無い刺激に弱い、というのは正にそうで、たった今私の誘いを驚きながらも了承してくれた彼の顔に、私は不覚にもまた『かっこいいなぁ』なんて思ってしまったのだった。
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猫 - 主さんの語彙力がありすぎてめっちゃ物語を楽しめました！ 好みすぎる物語でキュンキュンしながら読み進めて1時間足らずで読み終えました！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月31日 0時) (
レス) @page43 id: 2d8f825918 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 夢主ちゃんが純粋すぎてかわよ、、、zmニキのメッセージ直球wwwむっちゃ面白かったです！ (2020年5月26日 5時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - jiruさん» いつもありがとうございます( ´ ` *)そう言っていただけるとすごく励みになります、嬉しいです（ ; ; ）最後までお付き合いありがとうございました！新作も遊びに来ていただけたら嬉しいです( ´ ` *) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
jiru(プロフ) - 完結おめでとうございます。今回の作品も楽しませてもらいました！素敵な作品をありがとうございます。ゆららさんの作品はほんとに大好きなのでこれからも、楽しんで読ませてもらいます！！お体に気を付けてお過ごし下さい。 (2020年3月22日 22時) (レス) id: fc77c998f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - Near(ニア)さん» 完結までお付き合いいただきありがとうございました。次回作も心に留まるようなものを作れるよう精一杯頑張りますので、ぜひ遊びに来てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年3月22日 19時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月1日 0時
