11話 ページ11
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飲み屋街をトントンくんと並んで歩く。
店の前で談笑している人達の喧騒を掻い潜って駅へと向かっているトントンくんは、夜でも人通りの多い明るい道を選んでくれているのが伝わって、やっぱり彼は芯から優しい人なんだなと改めて実感した。
「俺らの友達、馴れ馴れしい奴らばっかりでびっくりしたやろ？ごめんな」
「ううん、全然。トントンくんもゾムくんもいい人だから、自然と素敵な人達が集まるんだろうなって思ったよ」
類は友を呼ぶと言うけれど、本当にその通りだなとお友達を見てそう思った。
私の言葉にトントンくんは「はぇー」なんて声を漏らして、「やっぱりAちゃんて凄いなぁ」と呟く。
「着眼点が俺らと違うというか、言葉選びが綺麗というか…」
「そうかな…だとしたら、トントンくんの方が色んなこと知ってるじゃん」
「そうか？居酒屋のメニューの説明くらいしかできひんで」
先程の事を掘り返され口を尖らせる。それにクスリと笑って口を開いた。
「ええな、ゾムは。毎日Aちゃんとおったら飽きひんやろな」
ポツリと、遠くを見ながら呟くトントンくんを思わず見上げる。
いつかゾムくんも、「Aは俺に出来ひん考えするからおもろい」そう言ってくれたことがある。それは、少なからず一緒にいて楽しいと思ってくれていたのだろうか。
それなら、トントンくんは。
同じように「おもろい」と称してくれた彼は。
「…私、楽しいよ。ゾムくんといると」
「おん。ゾムもよく言うてんで」
「じゃあ、トントンくんは？……今、楽しい？」
「え？俺？」
口をついて出た言葉に、驚いたようにこちらを見たトントンくん。
ちょうど駅に着いて立ち止まり、数秒の沈黙。その末、頬を掻きながら目を泳がせて、
「や……うん。楽しいで？けどなぁ……」
歯切れ悪く「なんか、うん、」ともごもごとしている彼をその先を急かすようにじっと見つめれば。
「………恥ずいねん。Aちゃん、ストレートやし正直やから」
実際嬉しかったんやけどな、と付け足した彼が、なんのことを言っていたのかようやく合点がついて、私も同じように頬が赤くなった。
私の最寄りに止まる電車がホームに着いたのを視界の隅に捉えて、何か言わないと、と焦ったように考えを廻らせていると、「Aちゃん、」と、真剣な眼差しのトントンくんが私の手を掴んだ。
「ご飯、また行こうな。……今度は2人で、」
「え……うん！」
何度も頷いて、顔を見合わせて2人で微笑んだ。
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猫 - 主さんの語彙力がありすぎてめっちゃ物語を楽しめました！ 好みすぎる物語でキュンキュンしながら読み進めて1時間足らずで読み終えました！ 素敵な作品をありがとうございます！ (2022年3月31日 0時) (
レス) @page43 id: 2d8f825918 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 夢主ちゃんが純粋すぎてかわよ、、、zmニキのメッセージ直球wwwむっちゃ面白かったです！ (2020年5月26日 5時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - jiruさん» いつもありがとうございます( ´ ` *)そう言っていただけるとすごく励みになります、嬉しいです（ ; ; ）最後までお付き合いありがとうございました！新作も遊びに来ていただけたら嬉しいです( ´ ` *) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
jiru(プロフ) - 完結おめでとうございます。今回の作品も楽しませてもらいました！素敵な作品をありがとうございます。ゆららさんの作品はほんとに大好きなのでこれからも、楽しんで読ませてもらいます！！お体に気を付けてお過ごし下さい。 (2020年3月22日 22時) (レス) id: fc77c998f4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらら(プロフ) - Near(ニア)さん» 完結までお付き合いいただきありがとうございました。次回作も心に留まるようなものを作れるよう精一杯頑張りますので、ぜひ遊びに来てください( ´ ` *)コメントありがとうございました！ (2020年3月22日 19時) (レス) id: 5de7af82d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月1日 0時
