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9話 ページ10

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とっくにお昼も食べ終わった私は屋上から立ち去ることもできたのに、隣に並んだ鬱先輩の雰囲気に飲まれてその場を動けないでいた。

前々から感じていたその独特な雰囲気は、私に対する優しさから来るものだと最近になって気づいた。つまり私は、この鬱先輩に幾分心を許してしまっているようで。

「ねぇ、鬱先輩」
「ん?」
「先輩って……彼女とかいないんですか?」
「え?なんで?」

それもそのはず、ここでは逆恨みやら雑用やらの最悪な扱いを受けている私にも分け隔てなく平等に接してくれるのは、鬱先輩たった1人だけだったから。


だから少しだけ、気になったのだ。
そんな平等なこの人にも、特別扱いするような女性がいるのかな、なんて。

「いや、おらへんけど……気になるん?」
「別に……聞いただけです」
「どうしたん、ゾムと上手くいってへんの?」
「え?いや、そういう意味で聞いたんじゃないですけど、」

在らぬ方向に勘違いされかけ、慌てて否定する。尻軽女だと思われれば、鬱先輩にまで嫌われてしまいかねない。できればそれは避けたかった。
と、思っている時点で私に一匹狼として過ごす事は無理だったらしい。


恐る恐る鬱先輩の顔を伺えば、地面に落とした煙草を足で擦りながら私を見据えている。


それは、あの時感じた真っ直ぐな瞳。それに射抜かれた私は、途端に動けなくなる。


「でもさ…俺前から思っててんけど」

ギクリ、と何を言われるのかと身を固くする私。
もし、鬱先輩がなにか勘づいていたら。それを指摘された時、私はどうやって言い訳をすれば良いんだろう。
『彼氏に振られて寂しかったので慰めてもらっていました』なんて、馬鹿正直に言えることではない。


先手必勝とばかりに屋上の扉へ後ずさる私の手を、あろう事か先輩はグッと掴み引っ張った。


「逃げる、ってことは、そういうことやんな?」


どくり、どくり、と嫌な音を立てる心臓。
有無を言わさぬその瞳は、逃げようとした私に絡みつく。

「見てて思ったけど、なんか2人おかしいよな?いつもくっついとる割に他人行儀っていうか」
「っ、それは!」
「大体な、前々から思っててんけど、Aちゃんがこない分かりやすく嫌がらせされとんのに、アイツはなんで黙って見とるん?」
「………なんで…知って、」


『嫌がらせ』
鬱先輩から飛び出したそれは、普段の私がされている事を差す言葉。紛うことなき嫌がらせのその数々を、鬱先輩は知っていた。

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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…(語彙力皆無) (2021年3月31日 14時) (レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ!!(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした!神作品ですね!というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています!長々とコメント失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がハッピーエンドを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらら | 作成日時:2020年2月11日 22時

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