22話 ページ23
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例えば、鬱先輩なら。
真正面から私を好きだと言ってくれ、持ち前の優しさも全て私に向けてくれるのだろう。
鬱先輩の隣にいれば私はきっと幸せだし、何も困ることはないと思う。
そう分かっているのに、どうしてもゾムくんがチラついてしまう。『好きな人できたらすぐ言うて』とあちらから言われているのにも関わらず、私はこうして鬱先輩と密かに会っていることもゾムくんに隠していた。
「別に、今すぐAちゃんにどうこうしろとは言わへんけど、」
考え込む私の頭上から、鬱先輩の声。
髪を撫でていた手がスルリと滑り落ち、私の頬にそっと添えられた。
「これ以上ゾムがAちゃんの事苦しめるんなら、俺も黙ってへんで」
頬に残る涙痕をそっと親指でなぞった鬱先輩は、有無を言わさぬ意志の籠った瞳で私を見据えた。
私を動けなくする、その瞳。
その奥にはただ私を想う気持ちだけが篭っていて、私には受け止めきれないのだ。
同時にゾムくんが私を呼ぶ時の切なげな表情まで蘇り、対極に位置するその2つに阻まれる私はもう、どうしたらいいのか分からなくなっていた。
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私が上の空なのは、当然ゾムくんにも気づかれる。
次の日いつも通り出勤し、最初の挨拶から既に私を訝しげに見ていたゾムくんは、お昼休みに遂に私に声をかけた。
「昨日なんかあったんか？」
「ん？残業したくらいだけど、」
「ふーん…ほんま？」
ゾムくんに鬱先輩と何があったかなんて毛頭言うつもりもない私は軽い調子で言葉を返す。でも、ゾムくんは疑り深い。
昨日紛れもなくこの場所で、鬱先輩に抱き締められたと知った時、ゾムくんはなんて言うんだろう。
怒る、悲しむ、嫉妬する。きっと、そのどれでもない。彼の目に映る私はあくまで『彼女役の同期』に過ぎないのだ。
「なぁA、なんか隠してんの？」
「なんで？何も無いよ」
「だって…おかしいやん、」
なんで、目腫れとんの？と私の顔に手を伸ばすゾムくんに、反射的に目を閉じた。
もう会社のオフィスにいるのにゾムくんは周りの目など意に介さず、誤魔化しきれなかった腫れた瞼をそっと指先で撫でた。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
