1話 ページ2
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ネット社会において人を騙す事など造作もない事だった。
いい所に勤めたい人も、お金持ちになりたい人も、国外に在住したい人も、今のご時世いくらでも偽りの自分を演じることが出来る。
それはこのご時世を生きる私にも一貫して言えることだった。私自身も、現在進行形で周囲を騙して生きていたから。
「ちーっす、A」
「おはようゾムくん、早いね」
「あ、気づく？昨日残業ブッパしてん」
騙すと言えば大袈裟だけど、偽りの自分を演じていることに間違いない。
背中合わせのデスクに腰かけたゾムくんがキャスター付きの椅子でゴロゴロと移動してきながら、「見たで、昨日の」と何気なくそう言う。
「インスタ…そろそろネタ無いよ」
「ふーん……じゃあ週末どっか出かけよか」
小声でそう言う私に反して、ゾムくんはよく通る声でそう言った。それに周囲はまた騙されるのだ。
『あぁ、あの二人はそういう仲なんだな』と。
いいよ、と二つ返事で了承した私と同じく、ゾムくんもまた偽りを演じていた。
私を見つめ微笑む視線に意味などない。デスクに戻る前に頭を撫でたことに意味などない。
私たちの関係は全て『偽り』だった。
互いの利害が一致しただけで、そこに愛情などない。
私は彼氏と別れた心の隙間を埋めたかった。ゾムくんは自分にまとわりつく女性を遠ざけたかった。その2つが交差したとき、私たちが取った行動は『付き合っているフリ』だった。
ゾムくんは私がいることにより言い寄る女性への断り文句を構築し、私は心の隙間を彼の体温で埋めていた。
愛情のないこの関係において互いの体温を共有することなど無意味だ、と自分から私を求めることをしなかったゾムくんは最近になりその考えを覆したようで、近頃の私たちは所謂『身体だけの関係』に成り下がっていた。
まぁ実際、意味もなく一緒にいるよりは幾分マシなのかもしれない。
今日は金曜。華金と呼ばれる今日の夜も、きっとゾムくんは私の手を引き夜の雑踏に足を踏み入れるのだろう。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
