俺の可愛いADちゃんpart５ (ページ15)

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葛藤ページ15

「ごめん、遅くなって」
そう言って、後藤さんにお詫びを入れながら入って行く二宮さん。

「二宮さ～ん。お久しぶりでえす。待ってたんですよお。」
中から、凄く甘ったるい声が聞こえる。

後ろから入って行くと、その声の主が結衣さんである事がわかった。

「ちょっと、あなた、二宮さんの事足止めしたんでしょ？迷惑も考えないで、何してるのよ！」

さっき出した声とは別人の様な声で私を怒鳴る結衣さん。

「す、すみません。」

慌てて謝ると、二宮さんが、私から離れて、結衣さんの横にしゃがんで顔を覗き込む。

「まあまあ。せっかく結衣ちゃんに会いに来たのに怒んないでよ。ほら、もう少しそっち行って？そこ入りたいから。」

「え？はい・・・」
嬉しそうに、頬を少し赤くして横にずれる結衣さん。

二宮さんは、「どうも。」と結衣さんに微笑みかけて腰を下ろした。

『結衣ちゃんに会いに来た』

その言葉が頭の中に響く。

そっか、そうだったんだ。

ここに来たのは結衣さんに会うためだったんだ。

・・・甘いな私。

心のどこかで、私を心配して迎えに来てくれたんだと思って、喜んでた。

結衣さんに後藤さん経由で呼び出されて、たまたまああ言う場に遭遇したから助けてくれただけだったんだ。

俯いたまま、元いた席に力なく座る。

結衣さんは、二宮さんに寄り添って、時々もたれかかったりしてる。

それを「酔っちゃったの？お水飲む？」と言って、優しく受け入れてる二宮さん。

何かを耳元で囁かれて、結衣さんの耳元で何かを囁き返して微笑んでる二宮さん。

・・・見たくないよ。
私以外の人に甘い二宮さんなんて。

私、いつからこんなにわがままになったんだろう。

別に、誰にどうしようと、二宮さんの勝手じゃない。

私にとやかく言う権利なんてないんだから。

私は特別なのかもって、自惚れ過ぎていた自分が恥ずかしい。

唇を噛んで俯くと、そこにあるはずのグラスが少しぼやけた。