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「フンッ!何様だ!えっらそーに……。逃げ場がねーのはテメェだっつーの!」
てゆーか…と続け、ボールを前に突き出して立ち上がった沢村くんは非常に怒った顔でこう言い放った。
「ぶつけられても文句言うんじゃねーぞ!」
どど〜ん!という効果音がつきそうなくらいだなぁ。
……でも、野球のルール的にボールはぶつけちゃダメだからね。本番だとデッドボールになって進塁させちゃうからね。
この沢村くんの様子に流石の東先輩も顔を青くさせていた。そして、近くで御幸くんが隠すことなく笑っていた。
「プククククッ。やっぱこいつおもしれ〜」
もう…何と言うか、命知らずというか……。怖いのもなしって感じだね。御幸くん。
「御幸コラァ!何笑っとるんじゃ!殺.すど!小僧、お前もせいぜい天使の前で無様なピッチングせぇへんようにするんやな!」
…私じゃなくて、「みんなの前」だよね。
と、いう意見は大人しく心の中に閉まっておいた。
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沢村くんと御幸くんのアップが終わり、東先輩が打席に立った。
アップを見ていたときも思ったけど、やっぱり沢村くんは投手用のグローブを持ったサウスポーの様だった。
沢村くんの実力は知らないけれど、サウスポーは貴重な存在だから戦力になるよね。
私も、知り合いで左利き投手は1人しか知らない。
東先輩は、中学生ごときの球は打てる気しかしないのか、自信ありげに腕を伸ばした。でも、強力バッターの東先輩が打ち取られるのは…想像つかない、かも。
なんて思うのは、沢村くんを下に見すぎ、なのかな。
『(…本当に、大丈夫…なの?御幸くん)』
と、東先輩と話す御幸くんを見つめる。
私がそう考えていることなんて、本人は気づいてもないと思うけれど。
というか、こんなこと監督に知られたら雷が落ちる気しかしない…。
『…高島先生、いいんですか…?見学といっても、中学生を、マウンドに上げてしまって…。監督どころか、高野連に、バレたら…』
隣にいる高島先生にそう聞くと、
「大丈夫よ!あなた達が黙っていればね!」
…と、眼鏡を光らせドヤ顔をしながらそう言った。
それに私も、周りにいた部員達も「えぇ…!?」と、目を丸くした。
マウンドでは、沢村くんが深くゆっくりと深呼吸をしていた。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (4月7日 2時) (レス) @page45 id: e83d5f7d48 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころぴー - さくらなぎ。さん、コメントありがとうございます!お褒めいただき、とても嬉しいです( ˶ˆ꒳ˆ˵ )続きが早く更新できるように私も頑張ります! (2022年3月28日 12時) (レス) @page9 id: 8c6f4cd173 (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - 見ていてとても面白いなと感じました、続きが更新されるのを楽しみに待っています!!!! (2022年3月27日 20時) (レス) id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんころぴー | 作成日時:2022年3月27日 18時