【男主】疲れるくらい愛されてます。 (ページ12)

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福本side

『あー、やっぱりおった！大晴くん、おはようございます』

福本「えっ、あっ、おはよう…？」

集合時間を見間違えてしまい、30分早く楽屋に着いてしまった。
スタッフさんもそんなに早く来るとは思ってなかったみたいで、「すみません！」と言いながら焦って準備させてしまっている。

スタッフさんの勢いに圧倒されて思わず俺もそれなりに大きな声で「すみません、俺こそ！」と返してしまい、それから3分ほど楽屋の外で待機していた時、なぜかいつも集合時間ギリギリに到着するAがそこにおった。

スタッフさんが準備を始めて5分くらい経って、「お待たせしました、本日はよろしくお願いします」と頭を下げたスタッフさん。
「俺らもすみませんでした」と言う隙もなくスタッフさんはまたどこかへと走っていった。

『今日ね、大晴くん早く来る気がしたんです。だから、俺もそれに合わせて早く来ちゃいました』

福本「え、俺に合わせてくれたん？」

『だって大晴くん、俺にずっと話しかけてくれてたじゃないですか。でも俺、色んなのに追われてたし他のメンバーといたからか思うように会話出来んくて』

鏡の前で前髪を直しながら話し始めたAは、満足いったのか俺の隣の席に腰掛け、話し続けた。

『だから今日は、他のメンバーが来るまで癒してくれませんか』

俺はそこで、何周もしたインタビューページの“2人きりの場ではめちゃめちゃイチャつきたい”というAの言葉を思い出す。

福本「お前、そういうの他のメンバーにも言ってたら許さんで」

『なんでやねん…まあ、そういう風に素直に言ってくれるのも大晴くんの好きなところですけどね』

「好き」と言葉に出すには勇気が足りないから、思わず口から出そうになったそれを一気に押し込んで、代わりに態度で示してその気持ちを少しずつ発散した。

頭をわしゃわしゃしたり、ほっぺをつまんでみたり、

抱きついてくれるAを受け止めたり。

今日は、制限時間があまりにも短かったけど。

いつかそんなんも気にせずにAとくっついていられる日が来るのか、ちょっとだけ期待しててもええんかな。

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