理想怪奇「死竜魔」 (ページ16)

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第二章　【お騒がせ埋葬人】ページ16

「まっ、待て、何で！？」
「”連帯責任“」
「何の！？」
「あの姉ちゃん、盛大に暴れてくれたぜ……。
　そのせいで墓地が滅茶苦茶だ！『死人に口なし』とは言うがな、些か常識なさすぎじゃねーの！？
　と言うかよぉ、俺はただ『ルナに喧嘩を売るのはやめた方がいい』って助言して帰らせようとしただけだったんだぞ！？なのにあの姉ちゃん、『邪魔するならぶっ倒す』って行った途端に此処で決闘札使いやがった！！あの姉ちゃん常識を家に置いて行ったんじゃないか！？普通墓地で暴れるかよ！？」

　完全に頭に血が上っている相手の顔は真っ赤っかだ。まるで漫画のようだがマジで真っ赤っかである。

「お、おう。なら、別に此処じゃなくても良かったんじゃねーかなぁ……？」
「そんな事したら次はお前が逃げるだろ！？墓地の管理は大変なんだぞ、手入れだって俺が毎日やってるんだ！墓石の数は62個、一つ一つ丁寧に俺一人で掃除するのに何時間かかると思ってるんだ！毎日毎日死者と顔を合わせて、そんな毎日送ったら俺の死期が近づくわ！！」
「お、おう。あの、落ち着いたら──」
「せめて姉ちゃんの分はしてもらうぞ！オレが勝ったら墓地の手入れを手伝え！！こらしめる為であり、手伝いの人数を増やすための決闘だ！」
「意味が分からない！とんだとばっちりだ！！」

　そんな弁明の余地も与えられぬまま、相手がスコップを振りかざしてきた。慌てて後退する。手加減なんてしていない、本気の振り下ろしを目の当たりにする。

「こ、殺す気か！？」
「決闘中、この結界内での攻撃は全て簡略化され、決闘者たちに甚大な被害を出さない様にしているのは知ってる。つまりスコップでアンタを叩きつけても、ちょっとの痛みと死者たちの呪いがアンタを襲うだけだ！」
「呪い？」

　木原アラタ……、いや、木原一族は聞いたことがある。彼らについても理想年記はきちんと書き留められていたのだ。