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パタンとしまったドアを見つめる伊野尾ちゃん。
ひかには悪いことしたなぁと思うけど、譲ってくれるならそれを受け取らない手はない。
｢伊野尾ちゃ｢大丈夫ならさぁ…｣
｢へ？｣
｢大丈夫なら、もうちょっと大丈夫そうな顔しろって感じ。な？｣
｢え、あ、ひか？｣
｢うん。……山田。｣
｢なに？｣
｢やっぱり、ご飯は次でいい？｣
｢…え、なんで、｣
｢ごめん。でもやっぱり先約は先約だから。｣
｢でもひか、大丈夫って、｣
｢うん、ごめん。次は絶対行くから。｣
パチン！と手を合わせて謝った伊野尾ちゃんは、そのまま楽屋のドアを開けて出ていこうとする。
なんで？光くんはいいって言ったじゃん。
いいって言ったのに。
｢や、やだ！伊野尾ちゃんなんで？光くんはいいって、｣
｢うん、でも俺がよくない。｣
｢なにそれ、｣
｢…あのね山田。｣
ドアノブに掛けていた手を下ろした伊野尾ちゃんは、ゆっくり俺の前まで戻って来ると少し笑って口を開いた。
｢ひかるはね、蛍なの。｣
｢…は？ホタル？｣
｢そう。だから俺からいってあげないと、放っといたら焦げちゃうんだよね。｣
｢いや、何言ってんの？｣
｢じゃあそういうことだから。撮影お疲れセミオくん。｣
｢えっ、ちょ、｣
意味が分からなくて呆気に取られている隙に、伊野尾ちゃんはさっさと出ていってしまった。
｢…ホタルって、虫の？｣
｢そう。虫の蛍。｣
｢涼介馬鹿だからねぇ。｣
一部始終を全て見ていた2人に問いかける。
薮ちゃんはちゃんと答えてくれたけど、何故か馬鹿にしてくる知念。
｢知念どういう意味か分かるの？｣
｢涼介が蝉でしょ？｣
｢…まあ、"蝉"は2回やったけど。｣
｢で、ヒカが蛍。｣
｢うん。｣
｢あとは調べたら出てくるよ。｣
｢え、そうなの？｣
｢まあ有名だからな。｣
｢でも知らなかったなぁ。こうた知ってた？｣
｢実は俺も知らなかった。｣
｢いのちゃんが言うってことはそういうことだよね？｣
｢だと思う。｣
話は終わったとばかりに、俺をそっちのけで話し始める二人。
俺は未だに意味が分からなくて、はてなマークを浮かべながらスマホの検索エンジンを引っ張りだした。
｢…蝉…蛍……ことわざ？…………は？｣
ヒットしたページを開くと思ってもいなかった文章が並んでいて、俺は言葉を失った。
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しろみ(プロフ) - おこげさん» 嬉しいです〜！こちらこそ読んでいただいてありがとうございます！！ (2022年2月1日 23時) (
レス) @page9 id: a728324ea6 (このIDを非表示/違反報告)
おこげ(プロフ) - hkinが大好きなのですが、どのお話も素敵でニコニコしながら読ませて頂きました！素敵なお話をありがとうございます！ (2022年1月29日 18時) (レス) id: ec6c8a8fda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろみ | 作成日時：2021年11月29日 13時
