少女は___38話に。 ページ41
「……治ってる」
乱と再会を果たした薬研は、当初の目的である少女のお腹を診察し始めた
しかし、そのお腹に巻かれている包帯を取ると
そこには傷痕だけが残っており、傷は完全に塞がっていた
「嘘だろ……?人間がこんなに早く傷が治るなんて……」
『?』
困惑している薬研に乱は言った
「え?主さんって人間だったの?」
と
『……え?』
それに反応したのは少女だった
何故乱がそう言ったかと言うと
乱は長い間、顕現されずに刀として本丸の蔵に居た
その為、人間の霊力にはとても敏感だった
だからこそ、人間とは異なる少女の霊力に気付くことが出来たのだ
そして異なる、と言っても
少女の霊力は普通の人間より多く澄んでいるということ以外ほぼ変わりはしないのだが
「どう言うことだ……乱」
「え?だって主さんの霊力ってなんかキラキラしてない?……それにキラキラして澄んでる筈なのに妙に黒いし」
『……キラキラ、黒い……』
離れに沈黙が訪れた
しかしそれを破ったのは少女の小さな悲鳴だった
『ひっ!やっやだぁ、薬研お兄さん!怖いよぉ……あの刀が来る……!』
少女は震え、頭を守るようにして踞り、震えた声を発する
その瞳からはポロポロと涙が止めどなく溢れてくる
その尋常じゃない怯え方に、薬研は一振りの刀剣を思い出した
空色の髪、飴色の瞳、優しい笑顔を浮かべる刀剣……
そして襖が開かれる
「乱!」
「いち兄!」
乱は早速一期一振に飛び付く
しかし薬研は震える少女を背に、自身の切っ先を兄に向けた
「なにしに来やがった!」
「薬研……お前はその人間に毒されてしまったんだね」
睨み付ける薬研と哀れむような目を向ける一期一振に
乱は困惑した
「いち兄……?薬研……?」
『やだっ!その人怖い!……小狐丸お兄さん、清光お兄さん、光忠お兄さん、鶴丸お兄さん、貞お兄さん、薬研お兄さん、じい様、乱お姉さん助けて……』
少女は混乱し、周りが見えていなかった
そんな少女を見てしまった以上、乱藤四郎のすることは一つ
「いち兄……一体主さんになにしたの?」
乱は少女を抱き締めながら、自身の本体を兄に向けた
『乱、お姉さん……助けて……』
「大丈夫だよ、主さん」
その様子を見た一期一振の瞳には絶望の色が浮かぶ
「……乱まで、その人間に毒されてしまったんだね」
そう言って一期一振は自身を抜く
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月明かりと紅色(プロフ) - 央花さん» コメントありがとうございます!青タンって以外と言われてるんですね、勉強になります! (2019年3月25日 10時) (レス) id: 3bb1cfaed2 (このIDを非表示/違反報告)
央花(プロフ) - 青タンは 大阪でも言いますよ!! (2019年3月25日 8時) (レス) id: 43b50149de (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - ……なんかhit数がヤバい、え、嬉しいです (2018年12月28日 22時) (レス) id: 3bb1cfaed2 (このIDを非表示/違反報告)
月明かりと紅色(プロフ) - さか(´×`)さん» コスプレですか!?いいなぁ、私もコスプレにちょこーと興味があるのですが、なかなか……お話しできて楽しかったです!また機会があればお話しましょうね!これからも是非少女は___。を見てくださるととっても嬉しいです! (2018年10月15日 17時) (レス) id: 3bb1cfaed2 (このIDを非表示/違反報告)
さか(´×`) - 脇差しは私は持ってないので羨ましいです…打刀はコスプレ様に清光と他4振りありますよ。またお話しましょうね?41話見ました!面白かったです!! (2018年10月15日 17時) (レス) id: 1a9e06e98b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月明かりと紅色 | 作成日時:2018年7月29日 12時