みにまむ ３０ ページ31
・・・・・・
どこかで見たことのある景色
どこかで見たことのある友達
これは、やっぱり夢だ。
だけど、私はこんな場所、来た覚えすらない。どうして？
「Aちゃんはさ〜」
「どうしたの？＿＿＿くん」
幼いころの私を、遠くから見ているようなアングルだ。
だって、目の前にいる少女は紛れもない私だから。
黒髪で緑がかかった青い目、それに大きなリボン。
けれど、その先にいる男の子の名前が思い出せない。どうしても名前にノイズがかかってしまう。
「好きな人、いるの？」
「え〜？どーして？＿＿＿くん、わたしのこと好きなの〜？」
よく幼稚園や保育園の子が話しそうな内容だ。
小学校に上がってもこういう会話してた友達がいたことを思い出した。
「うん、好きだよ」
「ありがとー！わたしも＿＿＿＿くんのこと好き！！」
「…そっか」
男の子は少しばかり目を伏せて不満そうな顔をしながら言った。
高校生になったから分かるけど、これは嫌がってるんじゃなくて言葉の意味を理解してくれない悲しみだ。
あれ、私、恋なんてした覚え、ないのに
「ま、まぁ気にすんな！ほら、鬼ごっこしよう」
「＿＿＿くんは走りまわるのが好きなの？犬みたい！」
「犬…！！？」
過去の自分を微笑ましく思っていると、急に視界に靄がかかる。
最近、私可笑しな体験ばっかりしてるな
なんて思いながら、夢の中で睡魔に身を委ねた。
・・・・・・
「ん…あ、おはよう、上鳴君」
「……っ」
綺麗な金髪が目に入ったので反射的に言うが、返事がない。
どうしたのだろうと顔を覗くと、看病に疲れたのか眠っていた。
「看病ありがとう、上鳴君」
体温計を脇に挟むと、秒で測り終える。３７．４度だ。
「君のおかげで微熱にまで下がったよ。今日は張り切ってご飯作るね」
壁掛け時計をちらっと見ると、もう七時だった。
この時間なら、全然大丈夫だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真裏 | 作成日時：2017年10月9日 8時
