みにまむ ３９ ページ40
地獄絵図になってから数分後、Aの体力に限界が来て地面に倒れた。
「Aっ…！！」
「あ…あああ……悪かった…」
ヤンキーは目の前で起きた恐怖で足をガクガクさせてその場を去っていった。
俺は後から駆け付けてきた先生に事情聴取らしきものをとられたが、そんなのどうでもよかった。
だって、Aは半年の間、目を覚まさなかったから。
それくらい、殺そうと思って個性を使っていたことになる。
いつも使っているのはふざけて鉛筆を２ｍにさせて俺に刺してくるようなもんだったから。
体育館や電柱などの大きなものを数十倍も大きくしたのだから、これくらいの代償はある筈だ。
Aが目を覚ましてから一度だけ会ったことがある。
……だけど、俺のことなんか覚えちゃいなかった。
俺に向けられたのは不安と恐怖の目。
あの出来ごとの要因は俺だと思っていたようだった。
それはそうか。行動の軸になったのは俺なのだから、意識に残っているのは俺なんだもん。
その数ヶ月後、Aは横浜に引っ越すことになった。
・・・・・・
「…分かったか、俺達の出会い。それから、お前が俺のことを思い出せない理由」
俺がこう話している間にもどんどん身体は戻ってきている。
今の身長は嫌なタイムリーで、その頃と同じくらいだ。
「A…？？大丈夫かA…！！？」
アイツの周りの雰囲気が変わり始めた。
「あ……あああああああああああああああああああああああああ」
Aは狂ったように叫ぶ。
「Aちゃん！！どうしたん！？」
「落ち着けって！」
「おい童話うるせぇ！！…童話？」
放課後だがここが教室だということもあって、ざわざわする。
「そうだったねー！！！だって悪は抹殺しなきゃだもん！ヒーローの役目でしょ！！？あははは！誰の為に戦ってるの？そんなこと分からなくたっていいよー！どうせこの世界なんて自分ばっかなんだよぉ！！！そのブロンドの目玉刳り貫いて強気な口も舌を引っこ抜いて綺麗な顔ぐちゃぐちゃにしてあげるからちゃんと耐えてねー！！！！！！！」
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作者名：真裏 | 作成日時：2017年10月9日 8時
