アバンチュール (ページ12)

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side向井ページ12

向「･･････蓮くん？」

握りしめていた手が、動いた気がした

向「･･･蓮くん？･･･分かる？」

目「･････････」

俺は何度も何度も名前を呼んだ

目「･････････ん」

向「･･･！･･･蓮くん･･･！」

目を覚ました蓮くんにおもわず

抱きついてしまった

向「よかった･･･！も、もう、起きなかったら

どうしよう思った･･･っ」

目「･･･こう、じ･･･？･･･ん、いたい･･･」

向「あ！ごめん！」

嬉しくてつい抱きしめる力が強くなって

蓮くんに痛いと言われてしまった

目「･･･おれ、」

向「･･･ロケ中に倒れたんよ」

目「え、まじか･･･」

いまいち状況が把握できてない蓮くんに

経緯をひと通り説明した

目「うわー･･･すげー迷惑かけてんじゃん、ごめん」

向「迷惑なんて思ってへんよ！目覚めて

ほんまよかった･･･」

目「･･････ありがとね、康二」

蓮くんはふわっと笑いながら頭を撫でる

･･･俺の大好きな笑顔

触れられるのもずいぶん久しぶりな気がする

不謹慎だけど、少し嬉しかった

目「･････････」

向「･･･？どうしたん？傷痛む？」

ふいに神妙な顔つきになった蓮くん

目「･･･先生、なんか言ってた･･･？」

向「え？･･･いや、病名とかは特になんも？

蓮くんが起きたら話すゆーてたらしい」

目「そっか･･･」

向「え、ほんまに大丈夫？看護師さん呼ぶ？」

傷口が傷んだのかと思って

ナースコールを押そうとした

そしたら･･･

目「康二」

向「わっ」

いきなり腕を掴まれて

そのまま蓮くんに抱き寄せられた

向「れ、蓮くっ･･･ここ、病院･･･っ」

びっくりして腕の中でもがくもビクともしない

なんなん、同じ男なんに･･･！

悔しさ半分、蓮くんの温もりにドキドキしてしまう

自分が恥ずかしい

目「･････････康二」

向「もう何よ蓮くん～苦しいねん･･･！」

目「俺さ･･･」

向「ん？」

冗談ぽくふざけるも、蓮くんの顔は真剣なままで

目「･･････耳、聞こえなくなったかもしれない」

その言葉はあまりにも衝撃的だった