(31)瞼の裏に映るもの ページ33
.
ドサリ…と倒れた特級を祓えたのだ
倒れた向こう側に、目が虚ろなAの姿
Aは吾郎さんを中に戻し、耳に手を当てて光がボヤボヤと明るく光る
「Aさん、聞こえますか」
『…聞こえ、ます…
七海、さん…、私が反転術式使いだってこと…忘れたんですか?』
平気に取り繕うとするが、苦しそうにそう答えた
光が出ているのは反転術式を使っているからであるが、その反転術式が追いついていないようだ
しかしある程度まで治ると、Aは自分を治すのを止めてまた吾郎さんを出し、ある方向へと歩き出した
途中倒れそうになるのを、七海が支えながらAが向かった場所は、先に離れておくように言った子どもたち
その子どもたちは廊下に横たわっていた。
あの呪霊の奇声が、子どもたちまで伝わっていて衝撃波を受けてしまったのだろう
Aは片耳から聞こえる音で子どもたちの心臓がまだ動いていることを確認し、手遅れにならないように反転術式で彼らの脈と呼吸が安全だと判断出来るまで使い続けた
それが終わって、安心すると意識が朦朧とし出す
また倒れかかる小さな身体を、七海がそっと受け止めて壁際にもたれさせた
「伊地知君に連絡をしました。
生存確認された2名の保護、そして死亡者の捜索は私が請け負います。
家入さんもすぐに来てくれるそうですので、Aさんはゆっくり休んでください。お疲れ様でした」
七海はAに自身のジャケットを掛け、また病院の中を捜索しに行った
シン…と静まり返る病院
いつも慣れている病院特有の医薬品の香りが、なぜだか無性に寂しさが立ち込めているように感じた
『(…なんでだろ…今すごく、恵に会いたい)』
耳が怪我した状態のため、周りの音が水の中にいるときのように篭って聞こえてくる
そうして思い出すのは、釣りのとき、海に落ちた時の記憶
____温かかった
「…ん……」と小さく呻き声を上げた子供たちの頭を撫で、すやすやと眠る子供たちにつられてAもゆっくりと瞼を閉じた
.
1433人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほやっく(プロフ) - souさん» コメント嬉しいです〜!!読んでくださりありがとうございました!!! (2022年1月23日 10時) (レス) id: f8046942e5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様です!私も恵くん大好きなのでオチが恵くんでとっても嬉しかったです!! (2022年1月22日 21時) (レス) @page40 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほやっく | 作成日時:2021年3月3日 19時