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馬鹿馬鹿しい、と姉さんは呆れたようにため息をつくと、テーブルに置いてあった未開封のミネラルウォーターに手を伸ばしてひと口飲む。

詩「あの女最初に会った時、熊谷君に色目使ってたのよ。確・実・に男目当てだわ。」

兎「マジっスか。」

熊「……。」


詩「私には愛想のひとつも無かったんだから間違い無いわよ。熊谷君は…なんだっけ、彩色?に絡まれていたから大変だったでしょ。」

熊谷にじっと視線が集まる。

熊「………とりあえずめんどくさい人でした。出来れば今後関わり合いたく無いです。」

詩「そうね。…だけどその話だとそういう訳にもいかないんでしょう?」

裏「はい、期間は分かりませんがAさんの先輩が気が済むまで来るみたいです…。」

周りの空気がずんと重くなる。
なんだ?つまりAちゃんと今みたいにしてるのは良くないこと…なのか?

池「結局…俺達はどうしたら良いんでしょうか…。」

兎「そーだよな。サポートつったって…何をどーすれは良いんだよ?」

詩「ようするに、その彩色の機嫌を損なわず、Aちゃんへとばっちりがいかないように動くしかないわね。後はやってみてから…って所でしょう。」

兎「機嫌を損なわないって…?」

詩「そこは頑張れ男子達!」

にやっと笑う姉さんをみて熊谷や裏道さんは盛大にため息をついたが、俺と池照君は訳がわからずオロオロする。

詩「フフ…とりあえずこんな作戦はどうかしら?あ、何かあった時のAちゃんのフォローは私に任せて!」

姉さんが悪い顔をしながら話しだした———。


———

——






『…はい、…………そうですか。わかりました。』

高〈お前には酷な事を言っているのは分かっている。……悪いな。〉

『謝るなんて部長らしくないですね。』

高〈お前は俺の後輩だからな。心配くらいはするさ。〉

ふと、あの人を思い出した。
複雑そうな顔で自分を見ていた人。

『……そこまで素直な部長も気持ち悪いですよ。いつも通りでいて下さい。』

高〈可愛げが無い奴だな。……とりあえず、俺が言える事は、裏道さん達とはあまり仲良くするな。けど、裏道さん達を信じろよ。〉

『めちゃくちゃ言ってません!?それに裏道さん達ってなんで…』

高〈なんでも何も、そのままの意味だ……っと、そろそろ戻らないとまずいな。いいか、とにかく俺も含めて信じろよ!〉

そのままプツリと電話が切れた。

ぼんやりと窓の外を見る。


『………そろそろ潮時、かな。』

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時

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