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裏道は煙草を吸いにベランダを開けると、外からの暑い空気が部屋の中に入って来る。
裏「…今年の残暑は暑過ぎじゃないか?」
窓は開けたままで手すりに背中を預けながらライターをカチリと着ける。
ゆっくりと煙を吸って吐き出すと。足元のプランターが目に入る。育てていたシソの葉がいい具合に育っていた。
裏(だいぶ大きくなって来たな。そろそろ何枚か取っておくか。)
煙草を咥えながら、大きくなったシソをプチプチと収穫していく。まだ小さい葉はそのままにして、テーブルにシソを置いてベランダに出ようとすると、部屋のインターホンが鳴った。
煙草を灰皿に押し付けて転がっているダンベルを避けながら玄関に向かうと、そのままドアを開けた。
裏「はい、どちら様…………」
兎「…あ、お、お疲れ様っす。」
熊「お疲れ様です。」
そこにはヘラヘラとした笑いを浮かべる兎原とスーパーの袋を持っている熊谷が居た。
裏「…………何。」
兎「えっと、ほら、二連休だし、裏道さんの所で餃子パーティーでもしようかなぁ〜って。」
裏「聞いてないんだけど。」
兎「そんなつれない事言わないでくださいよ〜!差し入れも持って来ましたから!」
兎原が持っていたコンビニ袋の中には沢山のビールとアイスが入っていた。
裏「俺、甘いもの苦手だって知ってるよな。」
兎「あ、これは俺が食べるやつっすよ。」
裏「……はぁ。…とりあえず入れ。」
先に折れた裏道は玄関のドアを大きく開く。兎原は満面の笑みを浮かべながら遠慮なくズカズカと入って行った。
兎「あざーーす!!おっじゃまっしまーす!」
熊「失礼します。」
熊谷が持っていた荷物は結構な量だ。袋からはネギがはみ出したり丸々一個のキャベツが見えている。
裏「お前のその荷物は何だよ?」
熊「これ、餃子用の食材です。後で台所に置かせて下さい。」
裏「…好きにしろ。」
兎「あだぁっ!?!?」
熊「兎原うるさい。」
兎「裏道さん!無造作にダンベル置かないで下さいって言ってるじゃないすかー!」
裏「ぶつけるお前が悪い。」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ兎原無視して、台所に置かれた荷物を整理する。
熊「裏道さん、テーブルに何故シソが…」
裏「育ててたやつが食べ頃だから取って来た。」
熊「じゃあこれも餃子に入れますね。」
裏道と熊谷は台所に立ちテキパキと餃子を作る準備を進めて行った。
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時