桃ジュース【桃】 (ページ28)

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『え………？』

(辞めれる……？)

あまりにも突拍子もない言葉で頭が真っ白になる。

そんな私を見兼ねてか、オーナーはジャケットから封筒を取り出し、その中身を出した。

オーナーが見せてくれた紙には、私が返済するはずだった多額の借金が免除される旨と佐久間さんの直筆のサイン、

そして。

『滝沢会……』

多額の借金をしていた私の父親を殺した滝沢会の文字。

ここら辺の地域を裏で牛耳る彼らを知らない人はいない。

佐久間さんはここに所属していたのだ。

(あの日、取り立ててたのも佐久間さんだったのかな……)

過去に見たり聞いたりしたことが蘇ってきてまた心が辛くなる。

「なんでここに来たんだろうな。

Aはあの人は見たことあるのか？」

ネオン街を支配する彼らがお客様として来る理由なんて無いはず。

オーナーも検討がつかないのか不思議そうに首を傾げていた。

『いえ、私が直接話したことがあるのは深澤って人だけで…』

…