桃ジュース【桃】 (ページ15)

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『うっ……』

冷や汗が止まらない。

控室のソファに倒れ込んだ私の元にラウが駆けつけた。

「大丈夫…？」

持ってきてくれたペットボトルの水を一気に飲み干す。

「よく耐えたね、偉いよ…」

今にも吐き出しそうだったけれど、前川様の前でそんなことをしてはまた怒らせてしまう。

だから続々と運ばれてきたアルコールを楽しむふりをして、結果この有様だ。

「こんなの酷いよ、女の子にこんなに飲ませて……」

『ううん。

沢山落としてきてくれたのに、それに見合った接客をできなかった罰だよ…』

「そんな…」

酷く辛そうな顔をするラウがなんだかおかしくって思わず頭を撫でてしまった。

『そういう仕事だから、仕方ないよ。

みんな対価を求めてここに来てるんだから』

ラウはその言葉を聞いた後、悲しそうに顔を歪めた。

「仕方ないのかもしれないけど、本当に無理だけはしないでね？」

『うん、ありがとうラウ』

嘘を吐くことを知らないようなその真っ直ぐで無垢な目で、冷め切った心がじんわりと温まった気がした。

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