短編集【雪】

一番は君【橙】 ページ25

…






『ぷふっ……笑』







康「Aちゃん何で笑ってるん？」








『この芸人さんの漫才がね……』








ご飯も済ませてお風呂も済ませて後は寝るだけ。








リビングのソファに2人で寄り添いながらスマホをいじっている。









康「なんこれ！めっちゃハイセンスやん！








負けたぁ〜〜」








『何勝手に競ってんの笑』








そんなにかってくらい悔しがる康二くん。









関西の血が騒ぐのだろうか。







康「んなもんAちゃんのこと1番ニコニコさせられるんは俺でありたいからに決まってるやろ？」








下唇を突き出してあからさまに拗ねた顔をしてくるから面白くて笑ってしまった。








『ふふっ笑』








康「何笑ってんねん」








『康二くんは可愛いなぁって思って』









康「可愛いのはAちゃんの方やろ」








『……っ、しれっとカッコイイこと言わないでよ』








康「ホントのこと言ってるだけです〜」








なんだか拗ねモードに入っている康二くんを甘やかすために、スマホの画面を落として康二くんの背中に手を回した。








康「急にどしたん……？」








『なんか拗ねてるみたいだから、安心してもらおうと思って』









康「別に拗ねてなんかないんやけど」








『その言い方が既に拗ねてる』








康「…………」








『一応言っとくけど、私の事ニコニコさせる天才は康二くんだけだって思ってるから』









康「ホンマに？」








『うん、ホントに』








康「ふふっ、そっかぁ〜」









上機嫌になった康二くんは私の倍以上の力で抱き締め返してきた。








直ぐに拗ねるし直ぐに上機嫌になるし本当に康二くんは単純だ。








でもこのやり取りが好きでわざと拗ねさせたりしてるのは隠しておこうと思う。






…

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