穏やかな仮面【緑】

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『わぁ、美味しそう』







阿部に連れられて到着したのは海鮮料理のお店。







いくらが溢れ出るこぼれ寿司や浜焼き、






どれも美味しそうなものばかり。






メニュー表をまじまじと見つめるも、なかなか決まらない。







『阿部さんのオススメはどれですか？』







阿「俺のオススメはこのサザエの浜焼きとカニ味噌とかかな……




こぼれ寿司はすっごくオススメです！」









『じゃあそれ全部頼みます』







阿「良いですね！沢山食べましょう！」








店員に注文を頼み終え、少しの待ち時間。








『阿部さんっておいくつなんですか？』








当たり障りないレベルで気になることを聞くことにした。









阿「今は23歳で学生です」








(23歳で学生…、留年してるのか……？)








当たり障りないと思っていたがそうでも無かったと焦り始めたところに、








阿「ふふっ、




留年してる訳じゃなくて大学院に進んでるんですよ？」








と阿部からフォローが入った。







ホッとしたのもつかの間、大学院というワードにまた驚く。








『凄いですね、大学院まで……』







阿「いえ、そんな大したことじゃ無いですよ」








自分が志望している大学に進学するのにとても大変だったから尚のこと、シンプルに凄いなと思った。








阿「Aさんは今はおいくつですか？」









『私は20歳で大学2年生です』









阿「そうなんですね！文系ですか？」









『はい、そうですけれど』









阿「やっぱり！なんかそんな感じがしたんですよね」









『そんな文系らしさ出した覚えは無いんですけどね笑』









阿部の発言に思わず笑うと、









阿「やっと笑ってくれた」









阿部が私の顔を覗きこむように見つめ、




今までにないくらいにニッコリと微笑んだ。









『えっ……？』









阿「ずーっと作り笑顔だったから、







俺と出かけるの嫌だったのかなぁって心配だったんです。









良かった、やっとAさんの笑顔が見れた」









(なんだこの激甘セリフは……)









阿部の優しさにしては甘すぎる発言になんて返そうか困っていたタイミングで料理が運ばれてきた。









内心ホッとしている自分がいた。








…

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