◆34話 ページ35
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私の部屋は人をもてなすようにはできていない。
机、本棚、クローゼット、タンス、あとはベッドだけ。
必要なものしかない。
ドアを開けて直斗を部屋に入れて、まずは一息ついた。
それから、座らせる場所を探す。
「……とりあえず私の椅子座っていいよ」
机の前にあった椅子をベッドに近いところに動かし、座るように促す。
そのまま私はベッドに腰掛け、直斗をじっと見つめた。
「……Aの部屋来るの、久しぶりだな」
部屋をゆっくり見まわしながら、直斗がつぶやいた。
少し緊張する。
直斗は目をつぶって一度ゆっくり息を吸い、それから一気に言った。
「謝りに来たんだ」
驚いた。
普段負けず嫌いで、自分が悪いとわかっても素直には謝らないのに。
それに今回、直斗は何も悪くなかった。
私が勝手にてんぱっただけだよ。
私こそごめん。
そう伝えようと思ったけれど、それができる空気ではなかった。
なぜか、自分が完全に悪いと思ってるみたいな。
何か、大事なことを隠していたみたいな。
そういう重苦しい空気。
長い沈黙で完全に答えるタイミングを失い、余計に無言の時間が延びる。
それを破ったのは、直斗。
「ごめん。あの、許してはもらえないかもしれないけど。ごめん」
そこまで謝られるようなことに、全く心当たりはなかった。
必死に記憶をたどるけれど、自分の醜態しか浮かばない。
わけのわからないまま、また何も答えられなかった。
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みなとS*(プロフ) - まゆみさん» 読んでてぱっと感じる印象とは違った、っていうのを目指していたので嬉しいです……!コメントありがとうございました、頑張ります〜 (2019年6月13日 5時) (レス) id: 9a77893b90 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ - 面白かったでっす!!彩音さんは友達たくさんいそうなイメージあったけど実際はいじめられてたんですね。いじめって怖い。これからも頑張ってネー!!!^^ (2019年4月15日 3時) (レス) id: d4ac2eaa92 (このIDを非表示/違反報告)
みなとS*(プロフ) - アラーネアさん» アドバイスありがとうございます。おもしろかったといってくださり光栄です。アドバイスを糧に精進します! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 06aef33b9e (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - いいですよ!ですが、面白かったですよ!!完結していますが頑張ってください!! (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - 読みました!!セリフ以外全てが夢主sideになっているのはなるべく避けたほうが良いです。そして、もう少し人の様子などを入れた方が、読み手も想像しやいです。小説は、いかにどれだけ文章で状況、様子を表現できるか。ですので、夢主が考えていることは()にした方が (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなとS* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月27日 7時