◆35話 ページ36
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「あの、何に……何に謝ってるの?」
疑問が口をついた。
直斗は真剣な顔で、膝に置いた手に力を入れたのがわかった。
「今日のことと、これまでのこと」
そう言われはするけれど、やっぱり何のことかわからない。
今日のこととなるとなおさら。
また、しばらくの沈黙。
何か言いたいけど、何を言えばいいのか。
何の話かも分からないのに、無理難題すぎ。
こういう空間に二人きりだと、いつも視線に困る。
どこを見ていればいいのかわからなくて、直斗の首元あたりを見つめていた。
「……今日、ほんとはAと行く約束だったじゃん」
唐突に直斗が語りだす。
「でも結局彩音といっただろ。自分からAのこと誘ったのに」
ようやく、直斗の話したいこと分かった。
そうだ、すっかり忘れてたけど、最初に私が約束してたんだっけ。
それを謝ろうとしてるのか。
疑問が晴れると、抑えていた感情が少しずつ流れ出していく。
……今更だけど、私今直斗と二人きりなんだ。
恥ずかしくてずっと入れないようにしてたのに部屋に入れちゃってるし。
謝ってるのも、私に悪いと思ってるからで、こんな真剣になってくれてる。
うわ、待って、ええー……。
どう接したらいいのかわかんなくなってきた。
頬が熱くなっていく。
意識しすぎなのはわかるんだけど、でもおさまんない。
と、とりあえず話聞かないと。
「……まずそのことに対して、ごめん」
頭を下げる直斗。
綺麗な黒髪を見つめていたら、顔を上げた瞬間に目が合ってしまった。
バチっと音がしそうなほどまっすぐに視線が絡み、余計に赤くなってしまう。
急いで目をそらしたけれど、多分見つめていたのはばれた。
恥ずかしい……。
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みなとS*(プロフ) - まゆみさん» 読んでてぱっと感じる印象とは違った、っていうのを目指していたので嬉しいです……!コメントありがとうございました、頑張ります〜 (2019年6月13日 5時) (レス) id: 9a77893b90 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ - 面白かったでっす!!彩音さんは友達たくさんいそうなイメージあったけど実際はいじめられてたんですね。いじめって怖い。これからも頑張ってネー!!!^^ (2019年4月15日 3時) (レス) id: d4ac2eaa92 (このIDを非表示/違反報告)
みなとS*(プロフ) - アラーネアさん» アドバイスありがとうございます。おもしろかったといってくださり光栄です。アドバイスを糧に精進します! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 06aef33b9e (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - いいですよ!ですが、面白かったですよ!!完結していますが頑張ってください!! (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - 読みました!!セリフ以外全てが夢主sideになっているのはなるべく避けたほうが良いです。そして、もう少し人の様子などを入れた方が、読み手も想像しやいです。小説は、いかにどれだけ文章で状況、様子を表現できるか。ですので、夢主が考えていることは()にした方が (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなとS* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月27日 7時