戻れないから呼ばないで【オリジナル】

◆23話 ページ24

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食べ終わって立ち上がろうとした時、後ろから声をかけられた。

「ねえ、君一人なの？」

男の人の声。
振り向くと、知らない人が私を見下ろしている。

「え……っと、はい、そうですね」

なんて答えればいいかわからず、あいまいな返事になってしまう。

「あ、別に襲ったりしないから安心して！僕も一人なんだ、一緒に回らない？」

襲ったりしない、って、安心はできないけど……。
よく見ると私と同じくらいの年頃らしい。
まあ、ちょっと話すくらいならいっか。

「少しなら、いいですよ」

そういうと、少し硬かった表情が一気に和らぐのが見てわかった。
緊張？優しそうに笑ってるし、怖い人ではないのかな。

立ち上がってどうして私に声をかけたのか聞いてみる。
すると、友達が急にこれなくなったことなどを話してくれて、私も同じ風に見えたかららしい。
私の場合は元から一人だけど、それで誰かの役に立てたならいいか。

少し歩きながら、いろいろな話をした。
彼の名前は、伊藤悠というらしい。
絵をかくのが好きだとか、趣味の合うところがいくつかあったりもした。

花火、一緒に見るか聞いてみようかな。
ほんとは直斗と一緒に見たいけど、しょうがない。

今日は、悠さんと夏祭りを楽しもう。
直斗のことを忘れるためにも、きっと大事なこと。

「悠さん、花火も一緒に見ますか？」

少し驚いた表情をしてから、彼は言った。

「もちろん！」

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