隠されたお菓子の段(四年生のときの回想)1 ページ1
とある日の昼下がり
龍之介が弓矢の練習をしていると、前から泣いているしんべヱとそれを慰める乱太郎、きり丸がやってきた
何があったのかと目を丸くした龍之介が弓をおろして三人に近付く
『何があったんだい、しんべヱ、そんなに泣いて。…もしかして山賊や盗賊にでも…』
龍之介から怪しい気配が漏れ出すのを、慌てて乱太郎が止める
乱太郎「わぁぁぁ!先輩違うんです!実は…」
『しんべヱ宛のカスレラと、学園長先生宛の羊羹が間違って届けられて、取り替えてもらいに行ったけど学園長先生がすでにカスレラを食べてしまっていて、代わりに羊羹を貰おうとしたのにくれなかったぁ?』
一気にそこまで言って、息が上がった龍之介に、口を尖らせたきり丸が更にまくしたてる
きり丸「代わりに何かくれるのが筋でしょって言ったら、サイン入りブロマイド3枚で手を打とうとしたんっすよ!そんなもの、誰がいると思ってるんですか!いくらタダでも、いらないってもんですよ!」
しんべヱ「うえぇぇ〜ん!」
乱太郎「しんべヱ、泣かないで?」
きり丸「チッやってらんねぇ。しかも、学園長先生は小松田さんのせいにするし」
乱太郎「確かに間違って届けちゃった小松田さんも悪いですけど、どっちも自分のものにしようとする学園長先生もひどくないですか?」
『それは学園長先生が悪いよ!』
呆れてため息混じりに言う龍之介に、乱太郎ときり丸が訴える
乱太郎「なんとかしてください、先輩!」
きり丸「せめて羊羹くれればいいのに!」
『全く、年甲斐もなく強欲なんだから…忍者の三禁を忘れたのかねぇ』
しんべヱ「ぐすっ、借金?」
『嫌だなぁ、そんなの。そうじゃなくて、三禁。女、酒、欲、この三つに注意せよ、という意味だよ』
乱太郎「それはそうと、どうしたら…」
『言って聞くような人でもないし…過去にもそうだったんだけど、実力行使した方がいいんだよね』
きり丸「過去にもって、学園長先生そんなにこういうことやってたんすか?」
きり丸の言葉に苦笑いした龍之介が思い出話をする
『僕らが四年生のとき…僕の養家、つまり仙蔵の実家なんだけど、そこから僕ら宛のお菓子と学園長先生宛のお菓子が届けられて─────』
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作者名:湊 | 作成日時:2023年10月16日 8時