六年生の実戦的実習の段 8 ページ9
留三郎「もし笛だけで伝えられなさそうだったら、お前の鳥が飛んでくるってこったろ?」
留三郎がそう言うとほぼ同時に、龍之介が硬い手袋をはめて差し出した腕に、大きな鷲が降り立った
生物委員が管理しているペット達とは違う、龍之介が普段使っている専用の動物のうちの一匹である
龍之介が山でケガをしているところを助けて以来、主人の命令を違えたことのない優秀な片腕でもある
『そう、この子を使う。矢文だと気付かれやすいからね。何よりも飛んだら僕が歩くより速いし』
小平太「こちらでもなんかあったら、連絡すればいいんだな!」
伊作「小平太、面倒だからと言って叫んで連絡するのはやめてね?」
小平太「細かいことは気にするな!」
「「「「「「『気にするわ!!!』」」」」」」
『…心配だなぁ、全く小平太は…』
ため息をつきつつ、城に近い森の木の上で望遠鏡をのぞきこみながら呟く
『アイツには前科があるからねぇ。っと、皆は潜入できたかな…?』
視線を門のところに向ける
見ると、踊り子に化けた6人が首尾よく城内に招き入れられていた
(これで潜入はできた。伊作も配置についたし、いくら不運大魔王と言えど忍たま六年生。自分の身くらい守れるだろう…。今回の実習の課題は城主のふんどしを取ることだから、正直現在進行形でつけているものでなくても、箪笥の中に仕舞ってあるであろうもので良いと思うけど…)
『どーせ、追い剥ぎして持ってくるんだろうなぁ、アイツら…』
まぁそれでもいいけど、と実習のためにアポなしで突然ふんどしを盗られる城主に心のなかで手を合わせていると、龍之介はとんでもないものを見つけてしまった
『…っ!』
よく見直しても、まちがいない
文次郎と留三郎が喧嘩を始めるより
長次が怒り出すより
伊作の不運が彼らを襲うより
小平太が暴れだすより
もっと恐ろしい…
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時