兵庫水軍の海の段4 ページ49
鬼蜘蛛丸「龍之介さん?それは…?」
『弓道で使う防具で、ゆがけって言うんです。これがないと、指とかを怪我しちゃうんですよねぇ』
義丸「そうなんですか…」
『えぇ、うっかり忘れると弦に腕の内側の肉を持ってかれるんですよねぇ…』
龍之介の言葉に、水軍衆が腕を押さえて悲鳴をあげる
『まぁ打ち方によりますけど…仙蔵、できた?』
仙蔵「あぁ」
さらに懐から折り畳み式の弓を取り出しながら龍之介が聞く
うなずいた仙蔵から受け取った矢には、爆薬の入った筒がくくりつけられている
仙蔵「一発で仕留められるだろう。三本しか用意していないぞ」
『誰に言っているんだい?』
ニヤッと笑った龍之介が、弓を横に構える
一気に三本の矢をその上に並べて、ぐっと引き絞る
舳丸「変わった打ち方ですね…?」
仙蔵「一気に何本も打ちたいときは、いつもこうするんです。正規の打ち方…つまり、弓を縦にして構えると、一本ずつしか打てませんから」
協栄丸「これで当たるのか…?」
仙蔵「普通は無理です。…でも、弓を扱わせれば忍術学園一の龍之介なら…」
仙蔵がそう言って龍之介を見る
『任せときな、僕らの休日を邪魔した報いを受けてもらわないとねぇ?』
その言葉と同時に、龍之介がパッと手を矢から離した
きれいな放物線を描いて、矢が空気を切り裂き飛んでいく
狙いをたがわず、矢は恐竜さんボートの横っ腹に刺さった
次の瞬間
ドガァァァアアンッと大きな音がして、矢につけられた筒が爆発した
黒煙を上げながら、ドクタケ忍者たちが吹っ飛んでいく
仙蔵「決まったな」
「「「「「ポカーーーン…」」」」」
まさかの結果に、水軍衆が唖然とする
そして、驚いていたのは龍之介も同じくで…
『せ、仙蔵…前に試し打ちをしたときよりいくらか火薬の量が多くないかい…?』
仙蔵「そうか?気のせいだろう」
『え、えぇ…?』
戸惑う龍之介をクスクス笑う仙蔵を見て、水軍衆は心の声を揃えたという
(龍之介くんも大概だけど、立花くんもけっこう過保護(過激)だよな…)
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時