補習授業を回避せよの段2 ページ37
土井「─────っというわけで、六年い組の立花仙蔵と五十嵐龍之介に来てもらった。文次郎はどうした?」
『残業が忙しくて無理だそうですよぉ』
仙蔵「代わりの者をと考えたのですが…小平太は危ないですし、それ以外の者でも皆委員会で忙しく…」
『なんで、僕らだけで来ちゃいました』
土井「まぁ二人でも構わないから、大丈夫だ」
そう言う土井先生に代わって、今度は山田先生が話し出す
山田「では、今から一年生にはハチマキを、二人には鈴のついた紐を配る」
『結構音が響くなぁ』
仙蔵「ソッと歩いてもカラカラ鳴るな」
山田先生から渡された鈴つき紐を手の上で転がしながら言う
山田先生「今から行う補習内容は、二人からこの紐を奪うことだ!ただし、逆に立花や五十嵐にハチマキを取られた者はその場で失格となり、次の休みを返上して補習授業を行う!」
「「…「「えぇ〜!」」…」」
一年生から悲鳴が上がった
『僕らもなんかペナルティつける〜?』
仙蔵「では、先に紐を取られた方が相手の言うことを一つ、聞こう」
『どうせ、生首フィギュアの手入れか、焙烙火矢を作るかのお手伝いでしょう?…あ、僕、左手首がいい』
仙蔵「その通りだ。龍之介は夕飯を奢るか、食費稼ぎの内職の手伝いだろう?…私は髪紐のところに…」
紐を結び合いながら仲が良さげに話す二人を、山田先生が咳払いで二人きりの世界から連れ戻してくる
山田先生「では、10秒後に開始する!お互い、集団で動くも個人で動くも、全て自由とする!では、まず…六年生、散!」
次の瞬間、先生の横から二人の姿が消えた
森の方に、鈴の音が吸い込まれていき、やがて聞こえなくなる
庄左ヱ門「絶対勝つぞ〜!」
「「…「「おぉ〜!」」…」」
合図が出ると同時に駆け出していく一年は組の忍たまたち
それを見送った教員二人は、困ったような笑みを浮かべていた
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時