僕の望みは、「平穏」【六年生】【男主】【RKRN 】 (ページ33)

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改-塀登りができないの段5 ページ33

ガサリと音をたてて茂みから三人が顔をのぞかせる

きり丸「しんべヱ、大丈夫なのかな～？」

『クロが上手くやってれば、そろそろここを通ると思うんだけど…』

先回りしてきた龍之介が、クロによって遠回りさせられているであろうしんべヱを探してキョロキョロする

乱太郎「あっ！先輩、あそこです！」

乱太郎がそう言って指した方には、クロに追いかけられながら半泣きで走っているしんべヱの姿が

きり丸「すっげぇスパルタ」

『意思の弱いしんべヱは、こんくらいしないと走らないだろうからねぇ』

乱太郎「でも、ちょっと可哀想かも」

『まぁ…それは僕もそうなんだけど…』

きり丸「でも！ダイエットをすすめた直後に大盛りを食べようとしたしんべヱには！これくらいがちょうどいい！！」

鼻息荒く言い張るきり丸をなだめつつ、そろそろと三人がまた先回りするために引っ込んだ

そして、ついに金楽寺前…

そっと茂みから三人が見ると、お腹を手で押さえたしんべヱがやって来た

クロは指示通り、途中で追いかけるのを止めたらしく、姿は見えない

しんべヱ「あぁ～ん！ずっと大きな犬に追いかけられておだんご屋さんにも寄れなかったぁ～！」

そんな嘆きまで聞こえてくる

『おつかいの関門は突破したねぇ』

きり丸「でも先輩、帰り道は…」

乱太郎「しんべヱ、反動でいっぱい食べちゃうかも！」

と、その時金楽寺の門があいて、和尚さまが顔を見せた

しんべヱ「あっ！和尚さま！…そうだ、和尚さまがなにかおいしいものをくれるかも！」

わーい！と石段をかけるしんべヱに、茂みの中で乱太郎ときり丸が頭を抱えた

乱太郎「どうしよう、和尚さまがしんべヱにおまんじゅうをいっぱい食べさせちゃうかも…！」

きり丸「そしたらここまで走ってきたのがムダに…！あぁ～ん！ドケチとしてはムダはゆるせなぁ～い！」

『安心し給え、二人とも。出発する前に鷹のヨウに、しんべヱのためにならないからおやつとしては饅頭一個までにしてやってくれ、ていう旨の手紙を持たせて飛ばしたから』

乱太郎「出た！五十嵐龍之介先輩の、鳥を使った連絡…！」