危険な薬草取りの段 5 ページ22
ふてくされつつも、薬草取りにいってくれる乱太郎を見送りつつ、手の中の毒草を見る
あの時…四年前のあの日以来…毒物に体を慣らし続けてきた
毎日、少しずつ、ちょっとずつ量を増やしながら…
今はこんな葉っぱ一枚じゃ効かないまでになったが、まだまだいけるな
手元の毒草を口に放り込み、舌に広がる苦味を感じつつ薬草と毒草を選り分けていく
『…仙蔵に怒られるわな…』
ボソッと呟いたその時、乱太郎の悲鳴が聞こえてきた
ハッとして松葉杖を支えに立ち上がる
足を引きずりつつ周りを見渡すと、山賊と思われる男五人組に捕まった乱太郎が見えた
くっそ…、なんか考え事してるとすぐコレだ…
思わず舌打ちをしてしまいそうになるのを、後輩の前だと思い直して山賊の方へ歩み寄る
…あぁ、遅い…!こんなことになるなら、運動するとき用の義足を履いてくればよかった…!
乱太郎「せ、先輩…!」
「おぉ、こいつの先輩か。見れば分かるだろう、有り金全部寄越せ」
『渡したいんだけどねぇ…残念ながら僕らは薬草取りに来ただけなんだ。財布は持ってきていないんだよねぇ…』
「…確認しろ」
頭であろう男が部下に指示を出す
松葉杖を下に放り出しおとなしく身体検査を受けるが、実際何も持っていないし、暗器はなかなか見つからない場所に隠すから、暗器なのだ
当然、何も見つからない
「チッ。…しょうがねぇ。よく見りゃいい顔してやがる。二人とも売って金にすんぞ」
乱太郎「そ、そんなぁ…!」
ポロポロと乱太郎が涙を溢す
それを見た瞬間、何かが自分のなかで切り替わるような気がした
『…あ…まずい…』
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時