六年生の実戦的実習の段 16 ページ17
ほれほれ、と後輩を急かして帰路につこうとする龍之介を、い組の二人がその袖をつかんで後ろに来させる
『なんだい、危ないねぇ?今、僕松葉杖持ってないんだから。気を付けてくれたっていいと思
文次郎「迷子、か?本当に?」
仙蔵「私と相性の悪いあの二人をなるべく一緒に行動させないための工作ではなく、か?」
一人で行動したことへの批判からか、咎めるような目付きの二人に龍之介の目が、軽く細められる
仙蔵「あの物音も、お前の仕業だろう?屋根裏で、何かを待っていたのも、あの二人を近寄らせないために…」
文次郎「わざと一人離れたのだって、囮に使ったあの二人を回収するためだろ。なんでそう言わないんだ?今回だって、そのせいでお前は迷子になって後輩を頼った、なんて不名誉な噂が流れることに
文次郎がそう言って龍之介につっかかった時、そっと龍之介が口に人差し指を当て、後輩たちと先行する同期を見る
こちらの様子に気付かず、忍術学園への道を急いでいるのを確認するとフッと笑った
『黙っていたほうが、格好良いこともあるんじゃない?』
仙蔵「だが、しかし…!」
『分かってくれるのが二人もいりゃ、僕は十分。一々自分の行動を説明するのも面倒だしねぇ?物事が安泰に進むのなら、僕はいくらでも道化になるよ』
文次郎「損な奴だな」
『君には言われたくないねぇ』
文次郎「なんだと」
やんや、と言い合いながら歩く二人の後ろで、仙蔵は静かにため息をついた
仙蔵(…お前はそう言うが、そのせいでお前がいつか遠くに行ってしまうような気がしてならんよ、龍之介…。一人で、勝手に、どこかへ…)
一言くらい言って欲しいものだが、と心の中で呟きつつ、仙蔵はまだ言い合いをしている二人を追いかけた─────。
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文字数が苦しい…!
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時