六年生の実戦的実習の段 15 ページ16
義足の音が石畳の階段に響かないように注意しながら、そっと地下牢に入り込んでしんべヱと喜三太を探す龍之介
やがて、とある一つの牢の中で二人が寄り添って座り込んでいるのを見つけると、周りに誰もいないことを確認してから気配を出す
『やぁやぁ君たち、奇遇だねぇ?』
喜三太「あぁ!」
しんべヱ「五十嵐龍之介先輩!」
喜三太「どうしてここに!?」
牢をのぞきこむと、二人が龍之介の顔を見てパァと顔を輝かせる
『実習だよ。六年生全員でね。でもはぐれちゃってさぁ、ウロウロしてたら、ここに来ちゃった☆』
てへっと笑う龍之介に、二人がずっこける
しんべヱ「もぉ〜!先輩ったらしょうがないんだから!」
喜三太「僕たちが、先輩を門まで送ってあげます!」
『そりゃあ嬉しいねぇ』
ニコニコと笑いながら錠前を力任せに壊す龍之介
喜三太「もー、先輩!大きい音を出したら気付かれちゃいます!」
しんべヱ「捕まっちゃいますよ!」
『君らみたいに?』
しんべヱ「僕たちは違います!」
喜三太「先輩と一緒にしないでください!!」
『はいはい…w』
ぷんすこと怒る二人を苦笑しつつなだめ、結局龍之介が二人を小脇に抱えて門まで屋根の上を跳んで走る
喜三太「すごーい!先輩、よく片足でこんなに動けますね!」
しんべヱ「僕もいつか出来るようになりますかね!?」
『頑張ったらいけんじゃないかなぁ』
どんな練習したんですか?と聞いてくる二人の質問をのらりくらりかわしながら、龍之介がとうとう裏門の上に降り立った
三人の眼下には、待っていた他の六年生達の姿が
「「あぁ〜!立花仙蔵先輩!」」
仙蔵「げっ!福富しんべヱ、山村喜三太…!なぜお前達がここに…!?」
ギョッとして思わず距離を取ろうとした仙蔵が、伊作がいることに気が付いて明らかにホッとした表情を浮かべる
伊作「龍之介!大丈夫だったの?」
喜三太「龍之介先輩ったら、迷子になってたんですよ!」
しんべヱ「僕たちがここまで案内してあげました!」
喜三太「あれ?でも、僕たち案内してた?」
しんべヱ「えぇ…?どうだっけ?」
あれ?とお互いの行動を振り返って首をかしげる二人言葉をさえぎってニコニコと龍之介が笑う
『いやぁ持つべきは良い後輩だねぇ?さぁ、学園に戻ろう!課題は無事終わったしね!』
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時