悪足掻き 13 ページ14
部員全員がマネージャーの方を向く。岩泉、及川、花巻、松川。皆がマネージャーの話に耳を傾けた。それを見て、マネージャーは話し出す。
「先輩、筋肉が衰えていく病を患っていたんです。・・・私、知ってました。最初から先輩に頼まれてマネージャーになったんです」
マネージャーは目を悲しそうに細めて話す。それに岩泉はカッとなって怒鳴る。何でそれを早く言わなかった、言われていれば俺たちだって何か出来たのに。そう言う。でも、マネージャーは少し笑った。
「それが嫌だったらしいんですよ、A先輩は。A先輩、皆さんを悲しませたくなくて自分から嫌われ役になったんです。だから先輩達がしたことは、A先輩にとって好都合だったんですよ」
マネージャーは懐かしむように語る。しかし、その後、マネージャーは目を前より開いた。決意の目立った。
「A先輩、自分がいなくなって皆笑うって思ってました。でも、そんな訳ないじゃないですか。だから、私このことを言ったんです。A先輩が亡くなって悲しいはずなのに、何処かA先輩に大きな非があると思っている人が居ては困りますから。悪いのは誰でもないんです」
痛いぐらいにギュッと手を握るマネージャーの姿は、誰が見ても置いていかれたハチ公の様で。悲痛だった。
「私も皆さんを悲しませたくはありません。でも、A先輩のことを少しでも悪く思われたくないんです‼︎どうかA先輩が私達に最後に残した願いを叶えてください‼︎‼︎」
A先輩は、最高のマネージャーで最高の人なんですから。最後にそう付け加えたマネージャーは深く頭を下げた。及川らバレー部は、後悔した。特に後悔していたのは及川と岩泉だった。願わくば過去に戻りたい。そして苦しむAの近くで、そっと寄り添って、幸せに_
「ックソッたれが」
自分を殴る及川を岩泉が止める。Aはそんなこと望んでねぇ。そう言って。
「全国行かねぇとケジメが付けられねぇだろうが」
そう言う岩泉の目は赤く充血していた。
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零 - 今まで自分に自分で嘘ついてきて無理してたけどこの作品にあって泣けてスッキリしました。ありがとうございました (2018年3月15日 23時) (レス) id: 09905f0f4e (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ - 命を軽く見がちな私を叱ってくれる人に感謝をしながら生きています。心にくるいい作品に巡り会えたことに感謝を。長文失礼しました。 (2018年2月23日 19時) (レス) id: 436d32812a (このIDを非表示/違反報告)
ねこうさぎ - 学校でケンカした友達に「死のうかと思った」と言われた時、窓開けて目の前で飛び降りてやろうかと思いました。しなくて良かったと思う反面、楽になれたのかもしれないと他の人に話したら、泣きながら怒ってくれました。 (2018年2月23日 19時) (レス) id: 436d32812a (このIDを非表示/違反報告)
アラン - 全てが、退屈で仕方ない日々で、苦しくて死にたかったです。 でも、占いツクールのおかげで幸せです。「命」それは、儚いモノであり美しいモノであると私は思います。 私は、今、生きていられることに感謝します。 どうしても生きたかったであろう人のために。 (2016年4月21日 19時) (レス) id: 76bd4efda1 (このIDを非表示/違反報告)
梅木さんです(ドヤア - 死にたい。自分は愛されてなんかいないんだ。って時々思うんです。そんなときこのサイトに来て小説を読む。嫌われ、愛され、ほのぼの、ギャグ、ジャンルはいろいろありますが決まって思うのがそのキャラ達は愛されているということです。まぁ、とにもかくにも (2016年3月12日 20時) (レス) id: 42aa7227c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三夏桜 | 作成日時:2015年7月21日 15時