おはようございます！ところで、美味しいパンはいかがですか？【第五人格】 (ページ4)

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次の日の朝は少し寝過ごしてしまった。いつもは父とパンを焼くのだけれど、今日はもう既にパンの良い香りがしてきている。

「お父さん、ごめんなさい。今から手伝うねっ」

急いで着替えて店の厨房へと回ると、父はもう既に30個のパンを焼きあげていた。とはいえ、うちが朝に焼くパンは200個なのでまだまだあるのだが。なんといってもうちは村唯一のパン屋だ。村全員分のパンを焼いているに等しい。
父は今、大きなボウルでパン生地を作っている。私もパン生地を作ろうと思い、大きなボウルをもう一つ出して生地を作ろうとした。その時。

「ブラウンさーん？郵便ですよー」

郵便局員の声がした。うちには郵便受けがない。基本的に家には誰か居るし、職業柄朝が早い為寝ている間に郵便が届いてた、なんて余程のことがない限りありえないからだ。
父は手が離せない様なので私が取りに行く。届いたのは手紙が一通。
…あ、私宛だ。
うちに手紙が来るのも珍しいが、私宛なんてもっと珍しい。特に仲の良い友人もいなかったし、親戚はほとんどこの村にいる。
…まあ外にいる親戚なんて言ったら、旅行好きのポピー叔母さんか、縁を切った一家か、血のつながりが薄い遠い遠い親戚だもの。
まあそれは置いておくとして、この封筒は見た目こそ素朴だが…なんというのだろう、気品？が感じられる気がする。
何故そう思ったのかというと、まあ…直感だ。
取り敢えず、手紙は自分の部屋の机の上に置いておいた。勉強は苦手だが、計算と文字の読みだけはしっかりと出来た為手紙は読める。あとでじっくりと読もう。

＊

日も傾き、店は閉めた。私は一足先に戻ってきていて、父はまだ店で今日の収入のチェックをしてるだろう。この間に手紙を読むことにする。
…えっと、『えうりゅでぃけしょうえん』から。…ん？エウリュディケ？『しょうえん』は『荘園』でいいんだよね？
正直、ここ一年くらいは商品の名前札くらいしか見てなかったから読むのに時間がかかった。
手紙の内容はこうだ。
【A・ブラウン様。貴女を荘園のゲームへと招待したいと存じます。参加をするのであれば報酬をご用意しましょう。ゲームに勝利できたのであれば上乗せします。お母様のお体の具合が良くないのでしょう？断ってくださっても構いません。どうか、一度考えてみてください。】