どこまでも、深く深く

十七話 ページ19

｢なんや最近冷たくない？｣

｢冷たくない｣

｢嘘つき｣

｢嘘じゃない｣



足首を水につける少女
人魚から顔が見えないようにしているからか
人魚は覗き込もうとする



｢なら、顔見せたって｣

｢やだ｣

｢なんやのー｣



眉を下げて寂しそうにする人魚
そんな彼を見て少女は深いため息をついた



｢し...お...には...な...め｣

｢んー？なんて言ったん？｣

｢思春期の女の子には優しくしろって言ったの！｣



少女は目眩し代わりに人魚の顔に水をかけ
走り去っていく



｢思春期...かぁ...人間は難しいなぁ｣

十八話→←十六話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す