4本の薔薇～another story～【Fischer’s】 (ページ28)

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～甘えたい彼女～

シルクside

自宅にてスマブラをしてた時、仕事から帰ってきたAが部屋着に着替えもせずに真剣な顔で言った。

「ねぇ、ちょっと膝枕して」

シルク「……え？」

「だから、膝枕」

シルク「え、俺がする側？硬いし気持ちよくねぇと思うけど…」

「いいからいいから」

まだいいとも言ってねぇんだけど、勝手に俺の太腿に頭を乗せてきた。

せめて着替えようぜ？

シルク「スーツ皺になるぞ」

「いいよ、クリーニング出してる間は他ので代用する」

シルク「さいですか」

これは……仕事で嫌なことでもあったな。

付き合ってからAのこと分かるようになってきた。

Aから甘えてくるのは何か嫌なこととかムカつくことがあった時だけだし。

……そんな時だけしか甘えてこないのも寂しいんだけど。

スマブラをしてた手を止めてAの頭を撫でる。

うわ髪さらさら。

「…っはああぁぁぁ……」

シルク「おー、デカい溜め息。どした」

「……別に。そのまま撫でて」

シルク「はいはい」

言いたくないなら言わなくていい。

だから俺にできるのはAが話したら聞くことと、こうやって甘やかすことだけ。

「…ねぇ」

シルク「んー？」

「ありがと」

シルク「え？何が？」

「色々」

シルク「ふーん」

そしたらAが俺の腰に腕を回して抱き着いてきた。

ここまで甘えんのは珍しいな。

シルク「今日どっか飯食いに行くか？」

「何で？」

シルク「疲れてんなら料理したくないかと思って。あ、何なら俺が料理しても────」

「結構です」

シルク「おい！まだ全部言ってねぇ！」

「シルクくんの料理食べたら悪化しそう」←

シルク「もうちょいオブラートに包んで言ってくんね？」

「だって事実でしょ……でもそうだな、どっか食べに行きたい。皆誘おうよ、誰か暇な人いないかな」

シルク「えっ」

「え？」

シルク「俺2人のつもりだったんだけど」

「えっ」

そりゃあいつらと食うのも楽しいけどさ、たまには彼女と2人で食いたいじゃん。

公表してるから別にそこまで隠れる必要もねぇし。

そう言ったら腕の力が強くなった。

シルク「やだった？」

「……その逆」

シルク「そりゃよかった。じゃあ早速行くか。流石に着替えてこいよ」

「えぇ～、もうちょっとこうしたい。ダメ…？」

シルク「っ……しょうがねぇな」

普段自分からは甘えてこない彼女にこう言われたらダメって言えねぇって。