深夜 ページ22
楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので。映画を2本観たらもう寝る時間だ。Aさんと会えなかった時は凄い時間の流れが遅く感じたのに、何で今はこんなに時間が経つの早く感じるのかな。
Aさんの隣に寝転がって彼女を見る。ニコニコしてるAさんを見ると俺まで笑っちゃう。楽しいなぁ。
Aさんの手を取って指を絡めた。繋ぐ手に少しだけ力が加わって口元が緩む。あれ、Aさん何か言いたげな顔をしてる。何だろ。
「どうしたの？」
そう聞けば口パクで答えてくれた。今日家に来てくれてありがとうって。お礼、言われる事じゃないのに。むしろ24日に来れなくてごめんって謝らなきゃいけないのに。
でも言ったらAさん気にしそうだから言うのはやめた。会えて嬉しかったと言えば私も、って。あのね、俺それだけで充分だよ。
「おやすみ」
キスをした。そしたら顔真っ赤にして布団を頭まで被っちゃった。可愛いけど、顔見たいなぁ。布団を捲ろうとすると手で押さえられた。少しの攻防の末、勝ったのは俺。目が合うと2人同時に吹き出した。俺達何やってるんだろうね。
でもこういう時間が愛おしくて仕方ない。大好きな彼女とこんなに穏やかに過ごせる時が大好きなんだ。
だから本当はまだ起きていたかったけどね。疲労からか、気が付いたら俺は眠ってしまっていた。
…
寒くて目が覚めた。俺いつの間に寝てたんだ。布団被ってないし、そりゃ寒いわ。今何時……あぁ、まだ2時か。
「……あれ？」
隣にAさんがいない。起きるにしてはまだ深夜と言える時間だし、どこ行ったんだろ。トイレかな？
そう思って待ってみたんだけどAさん全然来ない。探すために起き上がってリビングに行く事に。
リビングは真っ暗。Aさんいないな。本当にどこ行ったんだ？
「ん？」
ちゃんとカーテン閉まってた筈なのに少しだけ開いてる。窓に近付いてカーテンの向こうを覗いてみた。
そこには窓に座って凭れて、空を見上げてるAさんがいた。よく見ればスケッチブックに何か描いてる。こんな深夜に何してるの……真冬なんだから、ブランケットとか被らないと風邪引いちゃうでしょ。
いつもリビングに置いてある大きめのブランケットを手に取ってから窓を開けた。Aさんは窓を開ける振動で俺に気が付いたらしい。
目をまん丸にして、凄いびっくりした顔で俺を見るからさ。つい笑っちゃったよね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
だから神様、どうか私にチャンスをください【Fischer’s】 4本の薔薇 〜another story〜【Fischer’s】 4本の薔薇 〜another story〜 II【Fischer’s】もっと見る
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……ｸﾞｽｯ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…！！ (2020年3月22日 21時) (
レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました！ (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´；ω；`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀧 | 作成日時：2019年8月9日 0時
