また君の隣にいたい【Fischer’s】

印象 ページ15

「俺らがAさんに初めて会った時ってもうAさんとお前付き合ってたじゃん？」
「うん」
「だから俺らモトキと付き合ってるAさんしか知らない訳だよ。お前と一緒にいるAさんしか」



あー……何となく、シルクの言いたい事が分かった。確かに、Aさんて俺と付き合ってからの方がよく笑うようになったな。多分ザカオもシルクと同じようなことを言いたいんだと思う。


そうだ、この際ちょっと気になってた事を聞いてみよう。



「あのさ、Aさんって最初会った時どんな印象だった？」
「怒った事なさそうな人」
「優しそうな人だな〜って思ったかな」
「モトキとちょっと雰囲気似てるなって」



3人の答えは似たり寄ったりだった。まあそんなもんか。俺も出逢った時そんな風に思ったし。



「モトキから耳が聞こえない人って聞いて驚いたけどさ……それ以外は本当に普通の、凄ぇ優しい人だよなぁ、Aさん。あんな優しい人そうそういねぇよ」
「ほんとそれ。俺がどんな下手な絵描いても一回も否定した事ないし、下手って言われた事もないし、褒める所なんてない筈なのに褒めてくれるし」
「Aさんは性格が滲み出てるよな、いい意味で」
「だからお前とお似合いだよ」
「そこ、だからに繋がんの？」
「繋がる繋がる。お前もAさんと同じだもん」



Aさんのいい性格が滲み出てるのは理解できるけど、俺もそうなのか？自分じゃそうとは思わないな。


ちょっと考えてからシルクが口を開いた。



「俺がこんな事言う立場じゃないし逆だろって思うかもしんないけどさ、Aさんと付き合ってんのがお前でよかったって思う」
「……確かに逆じゃね？」
「でも分かる。俺もそう思うもん」
「ンダホも？」
「俺も思う。俺らの中の誰かじゃ何かダメだよな、モトキじゃなきゃ」
「うん、もっきゅんじゃなきゃダメだよね」
「Aさんとモトキお似合いだもんな」
「ね」
「モトキ、そう思ってんの俺ら3人だけじゃねぇよ。マサイもぺけもダーマも多分同じ事思ってるから。今度聞いてみ」



皆が俺とAさんの事そう思ってたなんて思いもしなかった。シルク達が本当に仲間でよかった。


こんなに俺達の事を思ってくれてるんだ。そのためにも…って訳だけじゃないけど、これからもずっとAさんの隣にいたい。

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