充電 ページ1
9月3日は何の日か。そうです、俺、モトキの誕生日です。その日にシルクがわざと撮影を入れないでくれた。愛しの彼女と過ごせよ、なんてニヨニヨ笑いながら言ったのをよく覚えてる。うるさいな、元からそのつもりだよ。
こんなに誕生日が待ち遠しいって思ったの、小学生以来かなぁ。大好きな彼女に祝ってもらえるなんて、それだけでこんなに幸せな事あるだろうか。
あぁ、楽しみだなぁ。
…
そして当日。約束の時間ぴったりにAさんの家のインターホンを押した。もう玄関先で待っていたのか、鳴らしてすぐに玄関のドアが開いた。
Aさんが俺を見て顔を綻ばす姿を見ただけでもう充分すぎる程幸せだ。こんなに会いたかったって気持ちが伝わるんだもん。
玄関のドアがちゃんと閉まったのを確認してから、俺はAさんを抱き締めた。誕生日だもん、これくらい許してよ。彼女の首筋に顔を埋めて目を閉じる。
愛おしくて堪らない。離したくない。そんな想いがあったから、抱き締める腕に力を込めた。ごめんAさん、もうちょっとだけ。だって凄い久し振りに会えたんだよ?少しすれ違いの日々を今日まで過ごしてた。Aさんと最後に会ったのは約1ヶ月前。
完全なAさん不足だった。口を開けばAさんに会いたいって零してた。俺のその言葉を聞く度にメンバー皆苦笑いしてたな。昨日とかダーマにお前いい加減ウザいって言われたからね。
「はぁ〜……Aさんだ……」
俺のその声は聞こえてない筈なのに、Aさんの手が慰めるように俺の背中をポンポンと叩く。もうちょっと、もうちょっとだけ待って。お願いだから充電させて。
俺が満足する頃にはどれくらい時間が経ったんだろう。スマホのロック画面を見ると10分は経ってた。ずっと俺に付き合ってくれたAさんにごめんねと伝えると大丈夫、と返ってきた。Aさんの足元にいたきなこが呆れた目で見てる気がする。うん、気のせい気のせい!
[誕生日おめでとう]
[うん、ありがとう]
[プレゼントあるんだ]
こっち、とAさんに手を引かれてリビングに連れてかれた。そのままソファーに座らせられてちょっと待っててとジェスチャーをしてAさんはどこかに消えてった。
すぐにAさんは戻ってきて、背中に何かを隠しながら俺の隣に座る。えぇ、何だろう。プレゼントはあるんだろうなってちょっと期待してたけど、やっぱりいざ渡される場面になると緊張するね。
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Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……グスッ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…!! (2020年3月22日 21時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました! (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´;ω;`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀧 | 作成日時:2019年8月9日 0時