発声 ページ4
先にお風呂入らせてもらって────というかほぼ無理矢理脱衣所に押し込まれて────お風呂に入ってるAさんをご飯の前に読んでたONE PIECEの続きを読みながら待ってる。エースがルフィを守ったシーンの所でAさんが帰ってきた。俺がONE PIECEを読んでるのに気付いたAさんは覗き込んできた。
シャンプーのいい匂いがする。同じシャンプーを使わせてもらったから、俺と同じ匂い。理性を飛ばさないためにわざと顔を背けた。本当に色々危ないから、うん。俺が理性と戦ってるのなんて露知らず、Aさんは俺の裾を引っ張る。お願いだからそんな可愛い事しないでよ……特に今は。
［このシーン最初読んだ時泣いた］
［こういうの弱い方？］
［うん。すぐ泣いちゃう］
それからONE PIECE談義は続いて、気が付いたら1時間経ってた。Aさんと過ごしてると時間が経つの本当早く感じる。もうすぐ寝る時間かな。俺はまだ眠くないけどそろそろAさんがいつも寝るくらいの時間だ。俺どこで寝ればいいのかな。Aさんの家に泊まるの何気に初めてだったりする。
「ねぇAさ────」
俺の声は途中で不自然に途切れた。というのもAさんが俺の手を引っ張ったから。ギュッと両手で包まれて目を白黒させた。俺の手を包んでるAさんの両手は震えている。どうしたんだろう。
Aさんと目が合うとパッと逸らされた。視線をウロウロさせて、口を一文字に結ぶ。俺に何か伝えたい事があるような気がしてただ待った。
そしてAさんの口が動いて────
「……っ…モ、トキ……くん……！」
────俺の名前を呼んだのだ。
「A、さん……？」
聞き間違いじゃない。今確実に、彼女は俺の名前を呼んだ。驚く事しかできない俺に構わずAさんはまた口を開いた。
「ぅ、き……！ぅき、っ……！」
？うき……？それが何なのか聞いた時は分からなかった。でも少し考えて、何が言いたかったのか、一つだけ思い当たる言葉があった。もしかしたら。もしかしたらAさんは。
「好き？」
ゆっくり口を動かして聞けば、首が取れるんじゃないかってくらい大きく縦に何回も頷いた。そして、俺の大好きな笑顔を浮かべたんだ。
「ぅき！」
“す”が発音しづらいのか言えてはいない。でもちゃんと伝わった。“好き”って。
Aさんの言葉で“好き”が聞けた事がただただ嬉しくて幸せで、一番の誕生日プレゼントになった。
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Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……ｸﾞｽｯ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…！！ (2020年3月22日 21時) (
レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました！ (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´；ω；`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2019年8月9日 0時
