検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:7,764 hit

2話 ページ2

「…分かりました」


彼女のすべてを信用した訳では無い。
でも、すごく直感的に、俺が思っている…その何倍もの重さの事情がある___そんな気がしたのだ。


俺は今知っている限りの東卍のことを彼女に話した。
その間彼女は、相槌を打つことも無く、ただ静かに話を聞いていた。


一通り話した後、喉が渇いてぬるくなったコーヒーを喉に流し込む。


「…大体分かったよ。ありがとう」


彼女の顔には感情というか、そういう類のものが感じられなかった。


「その…驚いたり、悲しかったり…しないんですか?」
「あぁ、場地くんのこと?」


うーん、と彼女は唸る。


「彼らしいな、と思った」


彼女もコーヒーを飲む。カフェオレの方が美味しいな、と呟いた。


「でも、もう会えないんですよ?」


少しも悲しむ素振りがない彼女に少し苛立った。
口調が強くなってしまい、すみません、と謝る。


「……会えるよ。」


そう呟いた彼女の声は、小さすぎて蝉の声に搔き消されてしまった。
俺は聞き直したが、なんでもないよ、と彼女は笑う。



「今日はありがとう、花垣武道くん。もう遅いし帰ろう」
「あ、送っていきます」

「いや、いいよ」
「ダメです、送ります」




頑固だなぁ、と彼女は苦笑いを浮かべた。








________道中、俺たちは終始無言だった。
特に気まずいとも思わなかった。




「私の家、ここだから」
「あぁ、」


ボーッとしていると彼女に家に到着していた。
そこはいかにも普通の民家、というような、特に特徴のない家が建っていた。
しかし建てたばかりのようで、小綺麗な印象を与えた。




「それじゃあ、武道くん。また話、聞かせてね」
「はい」



「あぁ、あと」





彼女は俺の耳元で言った。









「私に会ったことは、誰にも言わないでね」








じゃ、と彼女は家の中に入っていく。
しばらく俺は呆然とその場に立っていた。


3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
136人がお気に入り
設定タグ:東京リベンジャーズ , 佐野万次郎   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

皆見恋(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます! (2022年4月17日 22時) (レス) id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ雰囲気好きです…!これからも応援してます! (2022年4月16日 23時) (レス) @page3 id: 81f78f6edb (このIDを非表示/違反報告)
皆見恋(プロフ) - 小夜さん» はい!頑張ります‥‥ (2022年4月16日 21時) (レス) @page3 id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 好きです これからもガンバ。 (2022年4月16日 15時) (レス) @page2 id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2022年4月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。