2話 ページ2
「…分かりました」
彼女のすべてを信用した訳では無い。
でも、すごく直感的に、俺が思っている…その何倍もの重さの事情がある___そんな気がしたのだ。
俺は今知っている限りの東卍のことを彼女に話した。
その間彼女は、相槌を打つことも無く、ただ静かに話を聞いていた。
一通り話した後、喉が渇いてぬるくなったコーヒーを喉に流し込む。
「…大体分かったよ。ありがとう」
彼女の顔には感情というか、そういう類のものが感じられなかった。
「その…驚いたり、悲しかったり…しないんですか?」
「あぁ、場地くんのこと?」
うーん、と彼女は唸る。
「彼らしいな、と思った」
彼女もコーヒーを飲む。カフェオレの方が美味しいな、と呟いた。
「でも、もう会えないんですよ?」
少しも悲しむ素振りがない彼女に少し苛立った。
口調が強くなってしまい、すみません、と謝る。
「……会えるよ。」
そう呟いた彼女の声は、小さすぎて蝉の声に搔き消されてしまった。
俺は聞き直したが、なんでもないよ、と彼女は笑う。
「今日はありがとう、花垣武道くん。もう遅いし帰ろう」
「あ、送っていきます」
「いや、いいよ」
「ダメです、送ります」
頑固だなぁ、と彼女は苦笑いを浮かべた。
________道中、俺たちは終始無言だった。
特に気まずいとも思わなかった。
「私の家、ここだから」
「あぁ、」
ボーッとしていると彼女に家に到着していた。
そこはいかにも普通の民家、というような、特に特徴のない家が建っていた。
しかし建てたばかりのようで、小綺麗な印象を与えた。
「それじゃあ、武道くん。また話、聞かせてね」
「はい」
「あぁ、あと」
彼女は俺の耳元で言った。
「私に会ったことは、誰にも言わないでね」
じゃ、と彼女は家の中に入っていく。
しばらく俺は呆然とその場に立っていた。
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皆見恋(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます! (2022年4月17日 22時) (レス) id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
舞 - めっちゃ雰囲気好きです…!これからも応援してます! (2022年4月16日 23時) (レス) @page3 id: 81f78f6edb (このIDを非表示/違反報告)
皆見恋(プロフ) - 小夜さん» はい!頑張ります‥‥ (2022年4月16日 21時) (レス) @page3 id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 好きです これからもガンバ。 (2022年4月16日 15時) (レス) @page2 id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年4月15日 21時