俺、横尾さんになっちゃった！

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「北山の寝起き？ああ、見たかったよ。可愛いもん。

寝顔しか直視出来なかったのが、やっと寝起きの北山を冷静な顔して見れるようになったんだし。

つか一日中365日ずっと見てたいくらいだよ、それが出来るなら。

北山の前だと意識し過ぎて俺がキョドっちゃうの、今に始まったことじゃねーじゃん。

俺だってこんな自分変だと思ってるよ。

勘違いだって、何度も思い込もうとしたよ。

でもやっぱり好き。誰よりも好き。

もう何年も変わんないんだから、きっとこの先も変わんない。

けど、こんな俺の気持ちがバレちゃったらきっと嫌われちゃうじゃん。

男の俺からこんな気持ちで見られてるなんて知られたら絶対引かれちゃうじゃん。

だから俺は見てるだけでも、あいつの隣りに居れるだけでもいいって…

うわっ、ちょっ…！



「もう分かったっ！ごめん、分かったからっ」



壊れてしまった玩具の様に延々としゃべくり倒す藤ヶ谷の腕を引っ張り、華奢な体を抱き締めた。



「もう分かったから…それ以上言わなくていい」



お前、そこまでずっと…。

一途で思い込みが激しくて人一倍繊細で傷付きやすいお前は、昔とちっとも変わってなくて。

クールな言動の裏でそこまで思い詰めてたの、俺ちっとも分かってやれなかった…。



俺ら、笑っちゃうくらいずっと…両想いだったんだな。



「納得してくれた？」


「うん。ありがとう」


「そろそろ苦しいんだけど？」



されるがまま大人しく抱き締められていた藤ヶ谷が身体を離そうと身じろぎ出すから、更に抱き締める手に力を込める。

『俺』に戻ったら、自分より大きい藤ヶ谷をこんな風に包み込んでやれるかな？
抱き締めるというより抱き着くのが精いっぱいかも。

そう思うと、まだお前を離したくなかったんだ。



「やっぱ渉、変」


「ああ…そうかも」



もう何て言われてもいいよ(笑)








「良かったね、みつ」



耳元で横尾さんのが聞こえた。



うん、ありがとう。

横尾さんはずっと、こんな藤ヶ谷のことを支えてきてくれたんだね。





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