治くんは、おさまらん。 (ページ16)

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治くんは、単純さがおさまらん。ページ16

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.......なんでや。なんで.......風邪移っとんねん！

まぁIHに向けて少し部活がハードで、
マネ業もそれに比例して大変やったから疲れたんやろなぁ。

とか、

明日ノート移すのめんどいなぁ。

とか、

家に私以外おらんくて.......少し寂しいなぁ。

とか。

色々熱でぼーっとする頭で考えていた。

そのぼーっとする頭の中で、
治くんの顔がふと浮かんだんは、

今は知らんぷり。

すると、ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝという音と共に、

外から「A～！」という、
聞き覚えしかない声がした。

.......噂をすればなんとやら。

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私は少し考えた後、

治くんは帰れって言っても聞かんやろう、
という考えに至ったため、

治くんを家に入れることにした。

治くんは家に入るやいなや、
すぐさま私の肩をガクガク揺らし、

「大丈夫か！？」とすごい剣幕で聞いてきた。

今あんたが揺らしたせいで、余計頭が痛なった、とだけ伝えるとしょげられた。

ええ、めんどくさいなこいつ。
と、思っていると、

「なぁ、キッチン使ってええ？」

と、聞かれたので、嫌な予感はするけど、
これ以上しょげられると面倒やから、
やむなく許可した。

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数分後＿＿＿

「A～できたで。」

と、治くんが手にお皿を持って部屋に入ってきた。

そのお皿に乗っていたのは、
お粥.......ではなくおにぎりやった。

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「俺にはお粥なんて作れへんから、
唯一自信もって作れるおにぎりを作ってん。

良かったら俺が食べさせよか？」

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てか後半部分あんたの願望やろ。
とか思いつつも、

この前散々治くんも私に甘えて振り回してんから、
今度は私が仕返したろ。

そう思い私はにやりと笑みをうかべて言った。

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『んじゃ、お願いするわ』

「.......えぇ！？冗談のつもりが。
まぁ、そっちがええって言ってんから、遠慮なく。」

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と言って、治くんはおにぎりを私の口の方へ差し出してきた。

私はパクッとそれを口に含んだ。
恥ずしさはあったがそんな感情以上に.......

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『美味い！』

「.......！ほんまか！？
自分の作ったもんで人を喜ばせれるって
こんな嬉しいことなんやな。

俺.......Aが幸せそうな顔してくれたから、おにぎり屋さんなろうかな(真剣)」

『いや単純か！

あと治くん、幸せそうな顔、ちゃうで、？
私は今幸せやねん。』

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こんなに人に思って貰えるって、
ホンマに私は幸せやな。

治くんは単純さがおさまらん＿＿＿＿

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