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10億という恐ろしい額が刻まれた通帳をポケットに突っ込み、鼻歌を歌いながらどこかへ向かって歩いていく甚爾さんに対し、私はとてつもない罪悪感に駆られてその後ろを着いていく。
………今まで私利私欲のために術式を使うという汚い真似をしたくなくて宝くじなどはやったことがなかった。
でもこんなにすぐ10億が手に入るんなら、甚爾さんに買われずとも自分で宝くじすれば良かった…なんて思ってしまう。いやでもあの切羽詰まった状況ではあれしか考えつかなかったんだ、仕方ない。…それに甚爾さんと居るのは思いのほか悪くないと思っている自分もいる。
なんて考えていた矢先、甚爾さんは言った。
「よし、金も入った事だし家買いに行くか。」
『了解です。買いに行きましょう。どこのスーパー行きます?………って、えっ?家を買うんですか!??』
「ああ。だって俺、今までは適当な女の家泊まってたから自分の家持ってねぇしな。」
『…うわぁ。』
相変わらずのクズさに思わずドン引いてしまう。
そして不動産屋を訪ねて家を探すことに。どうせ調子乗って都内の一等地にでも住むつもりなのだろう。……なーんて思ってた頃はまだ良かった。
私は今、甚爾さんの手元にある沢山の家の書類を見て酷く混乱していた。何故か、それは甚爾さんが見ている家の住所が都内の一等地…ではなく高専付近のものが多かったからだ。
『つかぬ事をお聞きしますが、なんでこんな山奥の家の家に??……というかここ高専のすぐ近くですよね。…もしかして高専にカチコミにでも行く気ですか?いや、貴方がその気なら流石に私も全力で止めますけどね。』
高専にカチコミ。普通の思考回路の持ち主ではやろうだなんて思わないことも甚爾さんならやりかねない。
そして次、夏油くん…そして反転術式を身につけ覚醒した五条くんと死ぬ気で戦うこととなったのなら恐らく甚爾さんは死ぬだろう。
ここはなんとしてでも止めなければ…!!!
「いや流石の俺もそんな自ら死にに行く真似をするほど頭のイカれた野郎じゃねぇよ、失礼だな。俺はお前のために高専付近の家をわざわざ探してやってんだよ。」
『…????と、言うと?』
甚爾さんの言葉の意図がわからず思わず首を傾げる。そんな私を見て甚爾さんも心底不思議そうに首を傾げて言った。
「あ?お前も俺ん家住むんだろ???」
『…………ん??????』
いや、どうしてそうなったんです????
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やんこち - ぐぁぁぁ…気になりすぎる!!とても素敵な作品をありがとうございます✨続き待ってますっ!! (10月21日 2時) (レス) @page19 id: 53e7ed5961 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - えっとですね!直哉くんなにかに目覚めたらしいのパスワードを教えてください! (2023年3月18日 21時) (レス) @page3 id: aff6f0444c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっと皆の絡みが見たいです(甚爾が呪詛師から東京校の術師側に転職するのもアリかもです) 更新頑張って下さい (2022年1月22日 0時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 案外甚爾がこっそり払っていたんですね私も夢主が払うのだとばかり思ってました 甚爾ごめん 何げに仕事ではちょくちょく高専側から何故か甚爾が駆り出されみたいななんだかんだの関係や絡みがあったら面白いと思うのですがどうでしょうか? (2022年1月22日 0時) (レス) @page19 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっとこの家族達の事や難しくても高専や「さ.し.す」組と色々な絡みが見てみたいです 続編楽しみに待ってます (2021年7月29日 19時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2021年4月18日 6時