占いツクール
検索窓
今日:25 hit、昨日:224 hit、合計:18,499 hit

ページ25

「俺さ、合成物なんだ。」

『...え?』


ジュー、と熱したフライパンの中で踊るウインナーに焦点を合わせたまま、無視出来ない言葉に問いを返した。


「北の国では秘密裏に人間と珍種の動物を合成させて記録をする、人目線で言う"人体実験"がされている。」

『...知ってる。師匠から聞いた事があるから。一連について口を出さない代わりに、人体実験によって得られた多額の金を山分けするってね。』


「...今までと同じ様に行けば本来、人格は人間だった被験者の物になるはずだった。けど、俺は違った。」


自身の右手を握って開いて、改めて自分の身体だと認識してしみじみと感じている様であった。


.


「...息の出来る水の中で目を覚ました事、四六時中黒い首輪と鎖に繋がれていた事、白い服を着た奴等と北の魔法使いがやけに大切に俺を扱っていた事。断片無く全部覚えてる。」


饒舌に並べる淡々とした言葉。


古い古い、骨から復元された自分も。
前世の記憶も。



『シャークん、』

「っ俺は、その事をあいつらに知られるのが怖かった。もっと酷い事するんじゃねぇか、って思って。」


だから逃げた。
誰のか知らない未知の身体で。


長い二本の脚で走るのが一番速いと知った。

走り過ぎると胸が、脇腹が、痛くなると知った。

怖い、という感情が瞳から水を溢すのだと知った。



人間の身体ってなんて不便なのだろう。
今でも喉元からヒュッ、と掠れた空気が聞こえる。



『_シャークんっ!!』

「...ぅ、あ...A。」



あたたかい。


彼女の身体が温かい。
嗚咽の止まらないこの自分を包み込んでくれている彼女が、温かい。



『、、っ一緒に、逃げよ?何処か遠い所で和やかに暮らそう?』

「...俺は、逃げたい。彼奴らにも会わずに、、Aが苦しまないのなら、逃げる。」


『...っん、うん。私も、そんな顔したシャークんは嫌だから。』



いつの間にか、Aもまた泣いていた。
俺が泣かせてしまったのだろうか。

戸惑って宙に浮かせていた両の腕で、彼女を抱き締め返す。


ぎゅっと、少しだけ強く抱き締めた。




昔の俺では知ることの出来なかった感情。

脆く弱い人間が、何故生きていけるのかを理解した。




「...好き。大好き。Aの事。」

『私も。ありがと、シャークん。』




大切な人を、愛す事が出来るからかな。




今は唯、それだけで良い。

俺はこれ以上、考えることを辞めた。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
108人がお気に入り
設定キーワード:WhiteTails , ワイテルズ , 実況者
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

36 +1(プロフ) - 怜さん» お気遣いありがとうございます。拙い文章でありますがどうかこれからも応援を宜しくお願いします。 (11月1日 19時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)
36 +1(プロフ) - 匿名さん» お気遣いありがとうございます。これからも宜しくお願いします。 (11月1日 19時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)
- 無理しないでくださいね。応援しています。元気になったら、また素敵な小説を見せてください。 (10月21日 12時) (レス) id: 7d18e03be6 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 把握です、しっかり休んでください (10月21日 6時) (レス) id: 714d9eb89a (このIDを非表示/違反報告)
36 +1(プロフ) - Lemon@サブ垢さん» 分かってくれる人がいて嬉しいです。^_^ (9月20日 21時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:36+1 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年8月30日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。